平成29年版 消防白書

第10節 消防防災の情報化の推進

1.被害状況等に係る情報の収集・伝達体制の確立

大規模災害時には、地方公共団体が把握した災害の規模や被害の概況を国が迅速かつ的確に把握し、広域的な応援部隊の出動調整その他の災害応急対策を適切に講じることが重要である。
消防庁は、地方公共団体から迅速かつ的確に収集した災害情報を総理大臣官邸に設置される官邸対策室等へ速やかに報告する役割を担っており、このことは政府全体としての災害対応に不可欠な業務となっている。
また、地方公共団体からの各種災害情報を基に、緊急消防援助隊の運用調整等を実施し、被災地における効果的な消防応援の実施を図っている。
災害時の情報収集及び伝達を円滑に実施するためには、平素から確実な連絡体制を構築し、連絡手段を確立しておくことが極めて重要である。
消防庁では、消防組織法第40条の規定に基づき、災害の種別や規模に応じた報告の形式及び方法について「火災・災害等即報要領」を定め、速やかな報告が行われるよう努めている。なお、市町村、消防機関からの報告については、都道府県を経由して報告する「即報基準」と、より迅速な報告を必要とする場合の「直接即報基準」がある(第2-10-1図)。

第2-10-1図 火災・災害等即報の概要

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第2-10-1図 火災・災害等即報の概要の画像。即報基準の場合、消防機関・市町村は、覚知後30分以内に、都道府県の消防防災部局に報告し、当該部局が消防庁に報告する。直接即報基準の場合、消防機関・市町村は、覚知後30分以内に、直接消防庁に報告する。消防庁は、内閣官房・内閣府等に報告する。

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