はじめに
昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする我が国の自治体消防制度が誕生してから、平成30年3月には70年を迎えます。この間、関係者の努力の積重ねにより消防制度や施策、消防防災施設等の充実強化が図られ、火災予防・消火、救急、救助はもとより、自然災害への対応や国民保護まで広範囲にわたり、消防は国民の安心・安全の確保に大きな役割を果たしてきました。
この一年は、九州北部豪雨により大きな被害がありました。また、新潟県糸魚川市における酒田大火以来40年ぶりの市街地大規模火災や、近年増加している大規模物流倉庫における埼玉県三芳町の火災をきっかけとして、あらためて火災への対策について考えさせられました。さらに、北朝鮮からの度重なる弾道ミサイルの発射への対応も必要となった年でした。
このような状況下において、様々な災害・事案から国民の生命、身体及び財産を守るという消防の責務はますます大きくなっており、消防防災体制の充実強化を着実に推進していく必要があります。
平成29年版消防白書は、特集として、最近発生した災害を踏まえた対応のほか、人口減少や災害の多様化等に対応した消防の連携・協力の推進の状況や、消防団を中核とした地域防災力の充実強化、女性消防吏員の更なる活躍の推進、消防本部におけるハラスメント等への対応策、高齢化・国際化等に対応した救急体制や情報支援策の充実強化、また、全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達における課題と対応について記載しています。
本編においては、火災や風水害をはじめとする各種災害の現況と課題、消防防災の組織と活動、国民保護への対応、自主的な防火防災活動と災害に強い地域づくり、国際的課題への対応及び消防防災の科学技術の研究・開発について記載しています。
この白書が、消防防災活動に対する国民の皆様のご理解を深めるとともに、国や地方公共団体だけではなく、住民、企業も含めた総合的な消防防災体制を確立するに当たって、広く活用いただけることを願っています。
平成29年12月