平成29年版 消防白書

3.災害時等のボランティア活動

被災地における様々なニーズに合わせた柔軟な対応を行う上で、ボランティア活動が非常に重要な役割を担っていることが、阪神・淡路大震災において改めて認識された。平成7年(1995年)12月に改正された災害対策基本法では、ボランティアの活動環境の整備が防災上の配慮事項として新たに位置付けられた。また、防災関係機関をはじめ、広く国民が、災害時におけるボランティア活動や自主防災活動についての認識を深めるとともに、災害への備えの充実強化を促進するために、「防災とボランティアの日」(1月17日)、「防災とボランティア週間」(1月15日から21日まで)が創設されている。
阪神・淡路大震災以降も、全国で地震や風水害などの大きな災害が発生しているが、こうした災害において近隣や全国から数多くのボランティアが集まり、被災した家屋の片付け、風水害で流れ込んだ泥のかき出し、避難所での手伝い、被災者や子供の話し相手、生活再建支援、町おこし・村おこし等の復旧・復興に関する支援活動が展開されている。
東日本大震災においても、泥かきや物資の仕分け、子供の遊びや学習支援、高齢者への傾聴、外国語や手話の通訳、栄養指導、カウンセリング等、ボランティアによる幅広い支援活動が行われた。
また、大規模災害時等の混乱の中でもボランティア活動が円滑に行われるよう、平成11年度(1999年度)から、地方公共団体によるボランティアの活動環境整備の促進を目的として、消防庁、都道府県、政令指定都市等で構成する「災害ボランティア等の活動環境整備に関する研修会」を年1回開催している。この研修会では、毎年、地方公共団体における災害ボランティアに関する取組事例等の紹介や有識者による講演等を通して、都道府県・政令指定都市の担当者間で災害ボランティアの活動環境の向上のための情報共有を行っている。
このほか、特定非営利活動法人日本防災士機構が認証する防災士も、自主防災組織に積極的に参画し、防災知識の普及等の防災活動を行うなど、地域防災力の向上に努めている。

関連リンク

平成29年版 消防白書(PDF版)
平成29年版 消防白書(PDF版) 平成29年版 消防白書(一式)  はじめに  特集1 平成29年7月九州北部豪雨の被害と対応  特集2 糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方  特集3 埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた対応  特集4 消防の...
はじめに
はじめに 昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする我が国の自治体消防制度が誕生してから、平成30年3月には70年を迎えます。この間、関係者の努力の積重ねにより消防制度や施策、消防防災施設等の充実強化が図られ、火災予防・消火、救急、救助はもとより、自然災害への対応や国民保護まで広範囲に...
1.災害の概要
特集1 平成29年7月九州北部豪雨の被害と対応 1.災害の概要 (1)気象の状況 平成29年6月30日から7月4日にかけて、梅雨前線が北陸地方や東北地方に停滞し、その後ゆっくり南下して、7月5日から10日にかけては朝鮮半島付近から西日本に停滞した。 また、7月2日9時に沖縄の南で発生した台風第3号は...
2.政府・消防庁・消防機関等の活動
2.政府・消防庁・消防機関等の活動 (1)政府の活動 内閣官房は、情報の集約、内閣総理大臣等への報告、関係省庁との連絡調整を集中的に行うため、7月3日16時46分に総理大臣官邸に情報連絡室を設置した。7月5日17時51分に福岡県に大雨特別警報が発表され、予想されるその後の気象状況により、甚大な被害が...