平成30年版 消防白書

第4章 自主的な防火防災活動と災害に強い地域づくり

[災害に強い安全なまちづくり]

1.防災基盤等の整備

(1)公共施設等の耐震化

消防庁では、地震等の大規模な災害が発生した場合においても、災害対策の拠点となる施設等の安全性を確保し、もって被害の軽減及び住民の安全を確保できるよう防災機能の向上を図るため、「災害に強い安全なまちづくり」の一環として、公共施設等耐震化事業により、

[1] 避難場所・避難所となる公共・公用施設(学校や体育館など)

[2] 災害対策の拠点となる公共・公用施設(都道府県、市町村の庁舎や消防署など)

[3] 不特定多数の住民が利用する公共施設(文化・スポーツ施設、道路橋りょう、交通安全施設など)

[4] 社会福祉事業の用に供する公共施設

の耐震化を推進している。

消防庁では、地方公共団体が公共施設の耐震化を進める上での参考として「防災拠点となる公共施設の耐震化促進資料(耐震化促進ナビ)」を作成し、全ての地方公共団体へ配付するとともに、消防庁ホームページ(参照URL:http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/taishin/index-j.html)において公表している。

さらに、初動対応の要となる都道府県、市町村の庁舎等の耐震率の向上や、家具転倒防止等の自主防災の推進などに取り組んでいる。

(2)防災施設等の整備

災害に強い地域づくりを推進するためには、消防防災の対応力の向上に資する施設等の整備が必要であり、消防庁では、消防防災施設整備費補助金や緊急防災・減災事業等により、防災施設等の整備を促進している。

地震や豪雨による災害では、市町村の災害対策本部機能の喪失又は著しい低下等が見られたことから、消防庁では、非常用電源の整備、多様な手段による速やかな被害情報収集手段の確保を地方公共団体に要請している。

(3)防災拠点の整備

大規模災害対策の充実を図る上で、住民の避難場所・避難所又は防災活動の拠点を確保することは非常に重要であり、想定される災害応急活動の内容等に応じた機能を複合的に有する「防災拠点」として整備していくことが必要である。

このため、平常時には防災に関する研修・訓練の場等となり、災害時には、防災活動のベースキャンプや住民の避難場所・避難所となる防災拠点の整備が必要である。消防庁では、消防防災施設整備費補助金や緊急防災・減災事業等により地方公共団体における防災拠点の整備を促進している。

第4-3図 防災拠点となる公共施設等の耐震化の状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

4-3zu.png
70-memorial-1.png
70-memorial-2.png

関連リンク

平成30年版 消防白書(PDF版)
平成30年版 消防白書(PDF版) 平成30年版 消防白書 (一式)  平成30年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応  特集2 最近の地震の被害と対応  特集3 消防防災ヘリコプターの安全運航体制の強化&n...
はじめに
はじめに この1年は、西日本を中心に多くの河川の氾濫や土砂崩れ等を引き起こした平成30年7月豪雨、震度6弱を観測した大阪府北部を震源とする地震、平成28年4月の熊本地震以来の震度7を観測した平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震など、風水害や地震等の自然災害が各地において発生し、多くの人的・物的被害...
特集
特集 人口減少や高齢化に代表される社会の構造の変化、風水害の多発化・激甚化や災害の多様化等、消防を取り巻く状況は常に変化しています。これらに適切に対応していくとともに、今後発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震をはじめとする地震災害等に備える必要があります。 平成30年においては、大阪府北...
1.災害の概要
特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応 1.災害の概要 (1)気象の状況 平成30年6月28日以降、北日本に停滞していた前線は、7月4日にかけ北海道付近に北上した後、5日には西日本まで南下してその後停滞した。 また、6月29日に発生した台風第7号は、東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた...