平成30年版 消防白書

3.教育訓練

消防庁では、あらかじめ登録された国際消防救助隊員に対して、海外被災地での活動において必要とされる知識、技術(手法)の共有及びチームビルディング(連携)の向上を図るため、平成23年度に全国3会場(大阪会場、福岡会場及び東京会場)で、「国際消防救助隊の実践的訓練」を実施した。

平成24年度からは、平成23年度に実施した上記訓練を踏まえて、登録消防本部間や関係機関との連携強化を図るため、「国際消防救助隊の連携訓練」を実施しており、平成30年度は、静岡県静岡市消防局と福岡県北九州市消防局で開催した。

また、派遣時に国際的なルールに準拠した活動を実施するための知識、技術を共有することを目的として、国際消防救助隊員を対象に捜索救助に関する国際的なガイドラインや技術に関する研修等を中心とした「国際消防救助隊セミナー」を実施している。

さらに、国際消防救助隊に長年携わった者を指導員として選出し、各種訓練での指導体制を整えるとともに、指導員間で指導方法等を共有する場として、「国際消防救助隊指導員会議」を開催している(第5-1表)。

第5-1表 訓練実施場所及び実施期間

(平成30年度中)

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なお、日本の国際緊急援助隊救助チームは、平成22年3月に救助活動に関する国際的な能力評価(IEC*1)において、最高分類である「Heavy(ヘビー)」の評価を初めて受けた。その後、平成27年3月に更新評価(IER*2)を受検し、再び「Heavy(ヘビー)」の評価を受けている。

*1 IEC:INSARAG(国際捜索・救助諮問グループ)による救助チームの評価制度で、Medium(ミディアム)・Heavy(ヘビー)といった分類がなされる。被災地では、この評価により各国の救助チームに適切な活動サイトを割り当て、効果的な救助活動を目指す。

*2 IER:INSARAG外部再評価。INSARAGでは、IECの評価有効期間を5年と定めており、評価を更新するためには再受検する必要がある。

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