平成30年版 消防白書

[競争的資金における研究開発等]

消防庁では、平成15年度に「消防防災科学技術研究推進制度」(競争的資金)を創設して以来、研究成果の実用化を進めるため制度の充実を図ってきた。

平成18年度からは、PD(プログラムディレクター)、PO(プログラムオフィサー)を選任し、類似の研究開発の有無等を含め、研究内容についての審査を行うなど、実施体制を充実強化するように努めてきた。公募に係る研究課題は、当初、消防防災全般としていたが、「テーマ設定型研究開発」枠の設定(平成18年度)、「現場ニーズ対応型研究開発」枠の設定(平成19年度)、消防機関等に所属する者の研究グループへの参画義務化など、より実用化に結びつく研究が実施されるよう、公募方針を随時見直している。

さらに、平成26年度からは「科学技術イノベーション総合戦略」等の政府戦略を踏まえた重点研究開発目標を達成するための研究開発を募集する「重要研究開発プログラム」を設定するなど、一層の実用化に向けて本制度の充実を図っている。

また、これらの研究の成果について、消防防災科学技術研究開発事例集による成果報告やフォローアップの実施など、本制度により進められた研究開発がより有効に活用されるよう努めている。

平成30年度の新規研究課題については、外部の学識経験者等からなる「消防防災科学技術研究推進評価会」の審議結果に基づき、政府方針や消防防災行政における重要施策等を踏まえ、6件を採択した。また、平成29年度からの継続課題についても上記評価会の評価審議結果に基づき7件採択している(第6-4表、第6-5表)。本制度では、これまでに135件の終了研究課題から数々の研究成果が得られ、消防防災分野に有用な多くの知見や資機材等の社会実装、施策への反映などその成果の活用が行われている。

第6-4表 採択研究テーマの一覧

6-4zu.png

第6-5表 応募件数、採択件数等の推移

6-5zu.png

関連リンク

平成30年版 消防白書(PDF版)
平成30年版 消防白書(PDF版) 平成30年版 消防白書 (一式)  平成30年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応  特集2 最近の地震の被害と対応  特集3 消防防災ヘリコプターの安全運航体制の強化&n...
はじめに
はじめに この1年は、西日本を中心に多くの河川の氾濫や土砂崩れ等を引き起こした平成30年7月豪雨、震度6弱を観測した大阪府北部を震源とする地震、平成28年4月の熊本地震以来の震度7を観測した平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震など、風水害や地震等の自然災害が各地において発生し、多くの人的・物的被害...
特集
特集 人口減少や高齢化に代表される社会の構造の変化、風水害の多発化・激甚化や災害の多様化等、消防を取り巻く状況は常に変化しています。これらに適切に対応していくとともに、今後発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震をはじめとする地震災害等に備える必要があります。 平成30年においては、大阪府北...
1.災害の概要
特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応 1.災害の概要 (1)気象の状況 平成30年6月28日以降、北日本に停滞していた前線は、7月4日にかけ北海道付近に北上した後、5日には西日本まで南下してその後停滞した。 また、6月29日に発生した台風第7号は、東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた...