令和元年版 消防白書

特集4 Society5.0時代におけるAI等の活用

1.消防防災技術に係る研究開発の方向性

(1)消防防災科学技術高度化戦略プラン2018

消防庁では、研究開発等に係る中期的なマスタープランとして「消防防災科学技術高度化戦略プラン」を策定し、概ね5年ごとに改訂している。平成30年3月に改訂した「消防防災科学技術高度化戦略プラン2018」においては、自然災害リスクの増大や社会の脆弱化への対応に加え、研究成果の社会実装の推進を主眼としている。

(2)統合イノベーション戦略等を踏まえた対応

我が国全体の科学技術政策の中期的なマスタープランである「科学技術基本計画」を踏まえ、政府において科学技術のイノベーションに関する総合戦略が毎年策定されており、直近では令和元年6月21日に「統合イノベーション戦略2019」が閣議決定されている。同戦略においては、Society 5.0の実現のため、AIやロボット等についてイノベーションに資する研究開発を推進するとともに、研究成果の社会実装化を推進していくこととされている。
また、総務省においても、「Society 5.0時代の地方」をキーワードとして革新的な技術の実装例や導入施策を全国の自治体に共有する取組を実施しているところである。さらに、「地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会」において、令和元年5月に報告書が取りまとめられ、スマート自治体への転換に向けた取組が進められている。
消防庁では、以上を踏まえ、消防防災行政に係る課題解決や重要施策推進のための「消防防災科学技術研究推進制度」(以下、本特集において「競争的資金」という。)における研究課題としてAIやロボット等に関連した案件を重点的に採択するとともに、研究成果の社会実装化を推進しているところである。
また、消防研究センターにおいても、多様化・大規模化する火災や自然災害に対応して、火災予防や消火・救助活動等の向上を目的に研究・開発を実施している。

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