令和5年版 消防白書

5.立入検査と違反是正

(1)立入検査と違反是正の現況

消防機関は、火災予防のために必要があるときは、消防法に基づき、防火対象物に立ち入って検査を行っている。
令和4年度中に全国の消防機関が行った立入検査回数は、75万8,410回となっている(資料1-1-59)。
長又は消防署長は、消防法に基づき、防火管理者の選任や消防用設備等の設置等必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
また、火災予防上危険であると認める場合には、消防法に基づき、当該防火対象物の改修、移転、危険排除等の必要な措置や使用禁止、制限等を命ずることができるとされており、これらの命令をした場合には、その旨を公示することとされている。
このように立入検査等を行った結果、消防法令違反を発見した場合、消防長又は消防署長は、警告等の改善指導及び命令等を行い、法令に適合したものとなるよう違反状態の是正に努めている(資料1-1-60資料1-1-61資料1-1-62資料1-1-63)。
特に、重大違反対象物(屋内消火栓設備、スプリンクラー設備又は自動火災報知設備を設置しなければならない建物で、これらの消防用設備等のいずれかが設置されていないもの又は本来の機能が損なわれている状態にあるものをいう。)については、火災危険性が高いことから、その違反の重大性を踏まえ、重点的に是正指導を行うとともに、是正指導に従わない場合は、警告、命令等の措置を実施し、その早期是正を図っている(資料1-1-64)。
適マーク制度は、消防法令及び建築法令への適合性を利用者に情報提供するものであり、基準に適合しているホテル・旅館等において表示マーク(銀)を掲出することができることとされている。
また、表示マーク(銀)が3年間継続して交付されており、かつ、消防法令及び建築法令に関する基準に適合しているホテル・旅館等においては、表示マーク(金)を掲出することができることとされている。
なお、消防庁ホームページにおいて全国の適マーク交付施設を公開している

(参照URL:https://www.fdma.go.jp/relocation/kasai_yobo/hyoujiseido/)。

(3)違反対象物の公表制度

違反対象物の公表制度は、特定防火対象物で屋内消火栓設備、スプリンクラー設備又は自動火災報知設備の設置義務があるにもかかわらず未設置であるもの等について、市町村の条例に基づき、市町村等のホームページに法令違反の内容等を公表する制度であり、全国の消防本部で順次開始されている。
なお、消防庁ホームページにおいて全国の市町村における公表制度の実施状況を公開している
(参照URL:https://www.fdma.go.jp/relocation/publication/)。

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