令和5年版 消防白書

2.流出事故

令和4年中に危険物施設において発生した流出事故の件数は415件(対前年比7件減)となっており、平成元年(1989年)以降流出事故が最も少なかった平成6年(1994年)の174件と比較すると、危険物施設数が減少しているにもかかわらず、約2.4倍に増加している。主な発生要因については、人的要因によるもの、物的要因によるものいずれも多数発生しているが、物的要因によるもののうち、特に腐食疲労等劣化によるものが増加している。

 

(1)危険物施設における流出事故の被害の状況等

令和4年中の危険物施設における流出事故の被害は、損害額5億6,638万円(対前年比8,965万円増)、死者0人(同1人減)、負傷者18人(同10人減)となっている(第1-2-7図)。
危険物施設別の流出事故の発生件数をみると、一般取扱所で発生したものが121件で最も多く、次いで、屋外タンク貯蔵所で78件、給油取扱所で63件となっている(第1-2-8図)。
流出事故の流出した危険物をみると、流出事故415件のうち、404件が石油製品を中心とする第4類の危険物となっている。これを品名別にみると、第2石油類に係るものが147件で最も多く、次いで、第3石油類に係るものが125件、第1石油類に係るものが95件となっている(第1-2-9図)。

(2)危険物施設における流出事故の発生原因等

令和4年中に発生した危険物施設における流出事故の発生原因をみると、人的要因が138件、物的要因が232件、その他の要因(不明及び調査中を含む。)が45件となっている。物的要因では、腐食疲労等劣化の127件、破損の46件、人的要因では、操作確認不十分の57件が多くなっている(第1-2-10図)。

第1-2-7図 危険物施設における流出事故発生件数と被害状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(各年中)

(備考)「危険物に係る事故の概要」により作成

 

第1-2-8図 危険物施設別流出事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和4年中)

(備考)1 「危険物に係る事故の概要」により作成2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

第1-2-9図 流出物質別流出事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和4年中)

(備考)1 「危険物に係る事故の概要」により作成2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(2)危険物施設における流出事故の発生原因等

令和4年中に発生した危険物施設における流出事故の発生原因をみると、人的要因が138件、物的要因が232件、その他の要因(不明及び調査中を含む。)が45件となっている。物的要因では、腐食疲労等劣化の127件、破損の46件、人的要因では、操作確認不十分の57件が多くなっている(第1-2-10図)。

第1-2-10図 発生要因別流出事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和4年中)

(備考)
1 「危険物に係る事故の概要」により作成
2小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(3)無許可施設における流出事故

令和4年中の無許可施設における流出事故の発生件数は2件(対前年比5件減)であり、死者は0人(前年同数)、負傷者は1人(対前年比1人減)となっている。

(4)危険物運搬中の流出事故

令和4年中の危険物運搬中の流出事故の発生件数は11件(対前年比5件増)であり、死者は0人(前年同数)、負傷者は1人(対前年比1人減)となっている。

(5)仮貯蔵・仮取扱い中の流出事故

令和4年中の仮貯蔵・仮取扱い中の流出事故の発生件数は0件(前年同数)となっている。

関連リンク

はじめに
はじめに 昨年は、静岡県熱海市土石流災害や8月11日からの大雨などの自然災害に見舞われ、多くの人的・物的被害が生じました。 また、新型コロナウイルス感染症への対応として、救急隊員の感染防止対策の徹底や、ワクチン接種業務への救急救命士の活用など様々な対応が求められました。 気候変動の影響により、近年、...
1.能登半島沖を震源とする地震に係る被害及び消防機関等の対応状況
特集1 近年の大規模自然災害を踏まえた消防防災体制の整備 1. 能登半島沖を震源とする地震に係る被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 地震の概要  令和5年5月5日14時42分、能登半島沖を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、石川県珠洲市で震度6強を観測した。 また、同日21...
2.令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号に係る被害及び消防機関等の対応状況
2. 令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号に係る被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和5年6月1日から3日午前中にかけて、梅雨前線が本州付近に停滞した。前線に向かって台風第2号周辺の非常に暖かく湿った空気が流れ込んだため、2日には前線の活動が活発になった。西日本から...
3.令和5年6月29日からの大雨等に係る被害及び消防機関等の対応状況
3. 令和5年6月29日からの大雨等に係る被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和5年6月28日から7月6日にかけて、活発な梅雨前線や上空の寒気の影響で、沖縄地方を除いて全国的に大雨となった。7月1日から3日にかけては山口県、熊本県及び鹿児島県(奄美地方)で線状降水帯が発...