令和5年版 消防白書

第6節 救助体制

1.救助活動の実施状況

(1)救助活動件数及び救助人員の状況

消防機関が行う人命の救助とは、火災、交通事故、水難事故、自然災害、機械による事故等から、人力や機械力等を用いてその危険状態を排除し、被災者等を安全な場所に搬送する活動をいう。
令和4年中における全国の救助活動の実施状況は、救助活動件数6万8,123件(対前年比4,925件増、7.8%増)、救助人員(救助活動により救助された人員をいう。)6万2,679人(同2,818人増、4.7%増)である(資料2-6-1資料2-6-2)。
救助活動件数及び救助人員の増加の主な要因は「建物等による事故」が増加したことである(第2-6-1図、第2-6-2図)。

(2)事故種別ごとの救助活動の状況

事故種別ごとの救助活動状況をみると、救助活動件数及び救助人員ともに「建物等による事故」と「交通事故」が大きな割合を占め、特に「建物等による事故」は増加を続けている。
救助出動人員(救助活動を行うために出動した全ての人員をいう。)は、消防職員と消防団員との合計で延べ160万4,495人である。このうち、消防職員の救助出動人員は「建物等による事故」による出動が最も多く、次いで「交通事故」となっている。一方、消防団員の救助出動人員は、「火災」による出動が最も多い。
救助活動人員(救助出動人員のうち実際に救助活動を行った人員をいう。)は、消防職員と消防団員との合計で延べ61万8,375人であり、事故種別ごとの救助活動1件当たりの救助活動人員は、「火災」が最も多く、次いで「水難事故」となっている(資料2-6-3)。

第2-6-1図 事故種別救助活動件数の状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和4年中)

(備考)
1 「救助年報報告」により作成
2 割合の算出に当たっては、端数処理(四捨五入)のため、合計が100%にならない場合がある。

 第2-6-2図 事故種別救助人員の状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和4年中)

(備考)
1 「救助年報報告」により作成
2 割合の算出に当たっては、端数処理(四捨五入)のため、合計が100%にならない場合がある。

関連リンク

はじめに
はじめに 昨年は、静岡県熱海市土石流災害や8月11日からの大雨などの自然災害に見舞われ、多くの人的・物的被害が生じました。 また、新型コロナウイルス感染症への対応として、救急隊員の感染防止対策の徹底や、ワクチン接種業務への救急救命士の活用など様々な対応が求められました。 気候変動の影響により、近年、...
1.能登半島沖を震源とする地震に係る被害及び消防機関等の対応状況
特集1 近年の大規模自然災害を踏まえた消防防災体制の整備 1. 能登半島沖を震源とする地震に係る被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 地震の概要  令和5年5月5日14時42分、能登半島沖を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、石川県珠洲市で震度6強を観測した。 また、同日21...
2.令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号に係る被害及び消防機関等の対応状況
2. 令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号に係る被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和5年6月1日から3日午前中にかけて、梅雨前線が本州付近に停滞した。前線に向かって台風第2号周辺の非常に暖かく湿った空気が流れ込んだため、2日には前線の活動が活発になった。西日本から...
3.令和5年6月29日からの大雨等に係る被害及び消防機関等の対応状況
3. 令和5年6月29日からの大雨等に係る被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和5年6月28日から7月6日にかけて、活発な梅雨前線や上空の寒気の影響で、沖縄地方を除いて全国的に大雨となった。7月1日から3日にかけては山口県、熊本県及び鹿児島県(奄美地方)で線状降水帯が発...