令和5年版 消防白書

第9節 国と地方の防災体制

1.国と地方の防災組織等

(1)防災組織

地震・風水害等の災害から国土並びに国民の生命、身体及び財産を守るため、災害対策基本法は、防災に関する組織として、国に中央防災会議、都道府県及び市町村に地方防災会議を設置することとしている。これら防災会議は、日本赤十字社等関係公共機関の参加も得て、災害予防、災害応急及び災害復旧の各局面に有効適切に対処するため、防災計画の作成とその円滑な実施を推進することを目的としている。中央防災会議においては我が国の防災の基本となる防災基本計画を、各指定行政機関及び指定公共機関においてはその所掌事務又は業務に関する防災業務計画を、地方防災会議においては地域防災計画をそれぞれ作成することとされている。

(2)消防庁の防災体制

消防庁は、実動部隊となる消防機関を所管し、地方公共団体から国への情報連絡の窓口になるとともに、災害発生時には、地方公共団体から報告を受けた被害情報等を政府全体に共有し、国を挙げた災害対応に生かしている。

(3)地域防災計画の修正

地域における防災の総合的な計画である地域防災計画については、災害対策基本法において、毎年検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならないこととされている。
消防庁では、令和3年度の災害対応の教訓などを踏まえて修正された、防災基本計画の内容などに基づき、地方公共団体における地域防災計画の作成の基準等を定めた消防庁防災業務計画を、令和4年12月に修正した。また、これらを踏まえ、同月、地域防災計画について必要な見直しを行うよう地方公共団体に要請した。

 

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