4. 令和5年7月15日からの大雨に係る被害及び消防機関等の対応状況
(1)災害の概要
ア 気象の状況
令和5年7月14日から16日にかけて、東北地方に梅雨前線が停滞し、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、前線の活動が活発となり、東北地方の北部を中心に大雨となった。秋田県の複数の地点で、24時間降水量が観測史上1位の値を更新したほか、秋田県や青森県では平年の7月の月降水量を大きく上回る記録的な大雨となった地点があった。
また、7月18日から19日にかけても前線の活動が活発となり、岩手県や秋田県で日降水量が100ミリを超える大雨となった地点があった。
イ 被害の状況
この記録的な大雨により、東北地方を中心に河川氾濫、浸水、崖崩れ等が発生し、秋田県で死者1人、負傷者5人の人的被害が発生した。
また、秋田県秋田市においては市街地が広範囲にわたって浸水するなど、住家被害については、計6,966棟となっている(令和5年11月15日現在)。
画像をクリック(タップ)すると拡大表示します
被害の状況
(五城目町消防本部提供)
(2)政府の主な動き及び消防機関等の活動
ア 政府の主な動き
政府においては、7月13日15時45分に情報連絡室を設置するとともに、関係省庁災害警戒会議を開催し、各省庁の初動体制を確認するとともに、自治体や国民に対し大雨への警戒を呼び掛けた。
その後、7月18日には関係省庁災害対策会議を開催し、既に判明した被害及び対応状況について関係省庁間の情報共有と今後の対応の確認を行うとともに、改めて自治体や国民に対し大雨への警戒を呼び掛けた。
イ 消防庁の対応
消防庁においては、7月13日15時45分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室(第1次応急体制)を設置し情報収集体制の強化を図るとともに、同日16時03分に、都道府県及び指定都市に対し「梅雨前線による大雨についての警戒情報」を発出し、自治体に対して災害対応に万全を期するよう呼び掛けた。
また、7月14日及び18日にも警戒情報を発出し、最新の気象情報を提供するとともに、大雨に対する更なる警戒を呼び掛けた。
ウ 被災自治体の対応
この大雨により、青森県及び秋田県の2県が災害対策本部を設置し、大規模な浸水被害が発生した秋田県は、自衛隊に対し災害派遣要請を行った。
また、被災市町村では、住民に対し、大雨による家屋の浸水や土砂災害への警戒を促すとともに、順次避難指示等を発令し、早期の避難を呼び掛けた。
エ 消防機関の活動
(ア)消防本部
被害を受けた地域を管轄する消防本部では、多数の119番通報が入電し、直ちに救助・救急等の活動に当たった。
また、大規模な浸水被害が発生した秋田県五城目町では、地元消防本部が消防団や県内の消防本部の応援隊と協力して救助活動に当たった。
(イ)消防団
甚大な被害に見舞われた秋田県内の多くの市町村において、消防団は、危険箇所の巡視・警戒、避難誘導、消防本部の救助活動の支援及び小型ポンプによる排水活動等を行ったほか、家財の搬出や路上の土砂撤去等の災害復旧活動を実施した。