令和5年版 消防白書

2. 消防特別警戒の体制等

(1)実施期間

G7広島サミットは令和5年5月19日から21日までであったが、警戒活動の準備期間及び各国の首脳等を含めた要人の動向を考慮し、5月16日から22日までの7日間を警戒期間とした。

 

(2)参加機関

テロ災害が発生している近年の社会情勢や、都市部におけるサミット開催という特性も踏まえ、広島県、広島県内13消防本部、他都府県20消防本部による車両179台、消防防災ヘリコプター6機、消防艇4艇、予防関係車両8台、消防職員等1,777人(警防要員1,296人、予防要員84人、本部要員397人)の消防・救急特別警戒体制を構築した。

 

(3)警戒体制

G7広島サミットにおいては、次のような消防特別警戒を実施した。 

 

ア 統括警戒本部・消防庁警戒本部

広島市消防局長を本部長として、広島市消防局内に統括警戒本部を設置し、作戦班、指令班、情報班、庶務班、予防班等を設置するとともに、首脳等要人の動向や関連行事の進行状況に応じて警戒部隊等の運用・調整を行う作戦室を設置し意思決定を行った。
さらに、統括警戒本部と連携を図るため、消防庁消防・救急課長を本部長として、広島市消防局内に消防庁警戒本部を設置した。
なお、定例会議等の模様は、テレビ会議システム等を活用し、関係各所に情報共有できる体制を構築した。
また、消防研究センター保有の機動鑑識車を統括警戒本部に配備し、サミット関連施設等における火災発生時の原因調査、鑑識体制の強化を図った。

 

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 統括警戒本部定例会議

統括警戒本部定例会議

 

イ 現地警戒本部等

統括警戒本部指揮のもと、首脳会議場であるグランドプリンスホテル広島及び首脳等要人が利用する航空機が離発着する広島空港に現地警戒本部を設置するとともに、海上付近におけるサミット開催という特性も踏まえ、広島市消防局南消防署水上出張所、廿日市市消防本部宮島消防署に警戒部隊の進駐警戒拠点を設置し、それぞれにNBC災害発生時に対応する部隊を配備した。
また、首脳等宿泊施設における進駐警戒や要人等の移動経路となる高速道路警戒、消防防災ヘリコプターによる航空警戒、消防艇による海上警戒も実施し、万全の体制を確保した。

 

 

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広島空港現地警戒本部

広島空港現地警戒本部

 

 

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広島市消防局南消防署水上出張所  進駐警戒拠点

消防防災ヘリコプターによる航空警戒

 

 

ウ 予防警戒

サミット関連施設の火災予防、災害発生時の初動対応等を任務とする予防警戒要員を24時間体制で配置するとともに、首脳等要人の動向やサミット関連行事に合わせ、関連施設に対し立入検査を実施する随時立入検査隊を配置した。
また、現に予防・危険物業務に従事している指定都市関係消防本部の職員によって編成する予防特命部隊を配置し、予防警戒要員や随時立入検査隊を支援する体制を構築した。

 

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予防警戒要員による立入検査

予防警戒要員による立入検査

 

特集3-1図 消防・救急特別警戒体制

 

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消防・救急特別警戒体制

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