令和6年版 消防白書

3.その他の対策

(1)出火防止対策の徹底

林野火災の出火原因は、例年、たき火、火入れ、放火(放火の疑いを含む。)等人的要因によるものが圧倒的に多く、また、林野火災の消火には多くの困難を伴うことから、林野火災対策は、特に出火防止の徹底が重要であり、消防庁では、「林野火災に対する警戒の強化について」(令和6年1月5日消防特第2号)を発出し、次の事項に重点を置いて出火防止対策を推進している。
〔1〕ハイカー等の入山者及び地域住民等に対し、新聞、テレビ、ラジオ、広報誌、ホームページ等を通じ、たき火の火の始末の徹底、たばこの投げ捨て、火遊びの禁止等について広報すること。
〔2〕火入れの実施者及び作業者に対し、火気取扱いに関する届出等の市町村条例の遵守、初期消火の準備、気象状況等を踏まえた火入れの実施等について指導すること。
〔3〕林業関係者に対し、日頃からの森林保全管理等の林野火災予防を適切に図るよう注意喚起するとともに、林内作業者に対し、火気管理の徹底について指導すること。
また、毎年、林野庁と共同で、春季全国火災予防運動期間の3月1日から7日までを全国山火事予防運動(詳細は第4章防火防災意識の高揚1.(3)を参照)の統一実施期間としており、令和6年においても統一標語を定め、ポスター、インターネット等の各種広報媒体を用いた広報活動や消火訓練等を通じた山火事予防を呼び掛けている。
さらに、平成30年から林野火災の優良な予防対策の事例や実災害から得られた知見等を広めることを目的に、都道府県林野関係部局や消防本部等を対象とした「林野火災対策説明会」を開催している。

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山火事予防ポスター

(2)林野火災用消防施設等の整備

消防庁では、林野火災による被害を軽減するため、林野火災用消防施設等(防火水槽(林野分)及び救助活動等拠点施設等(林野火災用活動拠点広場))の整備を促進し、消防防災施設整備費補助金交付要綱の定めるところにより、経費の一部について助成を行っている。

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