第2節 北朝鮮弾道ミサイル発射事案への対応
1.北朝鮮の情勢
北朝鮮は、平成28年2月の「人工衛星」と称する弾道ミサイル発射以降、平成29年11月の発射事案まで、頻繁にミサイル発射を繰り返していた。この間、平成29年8月には、米国領グアムに向けて、我が国上空を通過する弾道ミサイル発射計画が表明されたことで緊張が高まる中、同月29日及び9月15日には、弾道ミサイルが北海道上空を通過して太平洋に落下する事案が発生した。
同年11月以来、北朝鮮は弾道ミサイルを発射していなかったが、令和元年5月以降、再び発射を繰り返している。特に令和4年に入ってからは、かつてない高い頻度での発射を強行し、これまでに変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイル、新型の潜水艦発射弾道ミサイルなどを立て続けに発射しており、そのうち我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものも複数回あった。それ以降も、高い頻度で弾道ミサイル等の発射を繰り返しており、令和5年の発数は少なくとも25発である。令和5年4月13日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルの発射並びに同年5月31日、8月24日、11月21日及び令和6年5月27日の衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射においては、Jアラートの送信が行われている。
国際社会に背を向けて核・弾道ミサイル開発を継続する姿勢を崩していない北朝鮮が、今後、いかなる行動をとっていくのか、その動向を注視していく。