令和6年版 消防白書

住民等の自主防災活動

地域防災力の充実強化に当たっては、その中核となる消防団の充実強化だけでなく、地域住民一人一人が「自分たちの地域は自分たちで守る」という固い信念と連帯意識に基づき、コミュニティにおける自主的な防災活動を実施し、地域ぐるみの防災体制を確立することが重要である。
阪神・淡路大震災においては、地域住民が協力し合って、初期消火により延焼を防止した事例や、救助活動により人命を救った事例等が数多くみられた(第4-1図)。また、東日本大震災においても、地域における自主的な防災活動の重要性が改めて認識され、自主防災組織の結成の促進やその活動の活性化に向けた取組が各地で行われている。その後の大規模災害においても、自主防災組織が、地域住民の中心となって日頃から地域防災力の向上に努めていた結果、地域住民の避難が適切に行われ、被害の軽減につながった事例もある。令和6年能登半島地震では、継続してきた防災訓練が功を奏し、地区の住民全員が避難し津波から逃れられた事例があった。
自主防災活動が効果的かつ組織的に行われるためには、地域ごとに自主防災組織を整備し、平常時から、災害時の情報の収集伝達体制・警戒避難体制を確立し、防災用資機材の備蓄等を進めるとともに、大規模な災害を想定した防災訓練を積み重ねていくことが必要である。
また、地域の防火防災意識の高揚を図る上で、自主防災組織の育成とともに、女性防火クラブ、少年消防クラブ、幼年消防クラブ等の育成強化を図ることも重要である。

第4-1図 阪神・淡路大震災における生き埋めや閉じ込められた際の救助の状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

関連リンク

はじめに
はじめに 昨年は、元日に令和6年能登半島地震が発生し、多くの尊い命が失われ、甚大な被害をもたらしました。5月以降は、大雨や台風などによる被害が日本各地で生じたことに加え、8月には宮崎県日向灘を震源とする地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されました。また、9月20日からの大雨では、石川県...
1.令和6年能登半島地震への対応
特集1 令和6年能登半島地震等への対応 1.令和6年能登半島地震への対応 (1)地震の概要 令和6年1月1日16時10分、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震(以下、本特集において「本地震」という。)が発生し、石川県輪島市や志賀町で震度7を観測したほか、北陸地方を中心に北海道から九州...
2.地震の検証と今後の対応
2.地震の検証と今後の対応 (1)政府における検証 政府においては、関係省庁が連携して初動対応に当たるとともに、救命救助や捜索、インフラやライフラインの復旧、被災者支援等に政府一体となって取り組んだ。これらの経験を今後の災害対応に活かしていくため、政府は内閣官房副長官補(内政担当)を座長とする「令和...
3.令和6年9月20日からの大雨への対応
3.令和6年9月20日からの大雨への対応 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和6年9月20日頃から前線が日本海から東北地方付近に停滞し、21日は前線上の低気圧が日本海を東に進み、22日には台風第14号から変わった低気圧が日本海から三陸沖へ進んだ。低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影...