令和6年版 消防白書

2.教育訓練

消防庁では、あらかじめ登録された国際消防救助隊員に対して、海外被災地での捜索救助活動に必要とされる知識及び技術の共有並びに登録消防本部間や関係機関との連携強化を図るため、「国際消防救助隊の連携訓練」を実施しており、令和5年度は、仙台市消防局及び広島市消防局で開催した。
また、海外での捜索救助に関する国際的なルールの理解や訓練計画立案能力の強化等を目的として、登録消防本部において指導的な立場にある国際消防救助隊員を対象に「国際消防救助隊セミナー」を実施している。
さらに、国際消防救助隊に長年携わった者などを指導員として選出し、各種訓練での指導体制を整えるとともに、指導員間で指導方法等を共有する場として、「国際消防救助隊指導員会議」を開催している(資料5-1)。
なお、日本の国際緊急援助隊・救助チームは、救助活動に関する国際的な能力評価(IEC*1)及び更新評価(IER*2)において、最高分類である「Heavy(ヘビー)」の評価を受けている。

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IER Heavy級評価 認証式
(令和4年11月)


*1 IEC:INSARAG(国際捜索・救助諮問グループ)による救助チームの評価制度で、Light(ライト)・Medium(ミディアム)・Heavy(ヘビー)といった分類がなされる。被災地において海外からの救助チームの活動現場等を能力に応じ効率的に調整するための指標となる。
*2 IER:INSARAG外部再評価。INSARAGでは、IECの評価有効期間を5年と定めており、評価を更新するためには再受検する必要がある。日本の国際緊急援助隊・救助チームは、直近、令和4年11月に再受検し、Heavy(ヘビー)の再評価を受けた。

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