令和6年版 消防白書

地球環境の保全(ハロン消火剤等の放出抑制等)

1.ハロン消火剤等の放出抑制について

ハロンはオゾン層を破壊する物質であることから、「オゾン層の保護のためのウィーン条約」に基づき、モントリオール議定書において、生産等が全廃されることとなった。
しかしながら、ハロン消火剤*5(ハロン2402、1211及び1301)は、消火性能に優れた安全な消火剤として、建築物、危険物施設、船舶、航空機等に設置される消火設備・機器等に幅広く用いられている(令和6年3月31日現在、約1万7,000トン)。
このため、消防庁では、ハロン消火剤の放出抑制等に関する取組を推進しており、これを受けて、特定非営利活動法人消防環境ネットワーク*6を中心とした、一般社団法人日本消火装置工業会や消防機関等の国内関係者の継続的な取組により、世界でも例のない厳格な管理体制が整備されている。
一方、ハロン消火剤の代替となる消火剤を用いた消火設備や、不活性ガスである窒素、IG-55(窒素とアルゴンの混合物)及びIG-541(窒素とアルゴンと二酸化炭素の混合物)を用いた消火設備も設置が認められた。
ハロン消火剤の代替となる消火剤のうちHFC(ハイドロフルオロカーボン)については、「地球温暖化対策計画」(令和3年10月22日閣議決定)において、温室効果ガスとして排出抑制・削減の対象となっている。消防庁では、当該消火剤の回収・再利用等により排出抑制に努めるよう要請している。
今後も、国際会議等における地球環境保護の動向等に留意しながら、引き続きハロン消火剤等を適切な管理の下に使用していくとともに、建築物等の防火安全性を確保しつつ、回収・リサイクルを推進することにより、不要な放出を抑えていく必要がある。

*5 ハロン消火剤:ハロゲン化物消火剤のうち、フロンの一種で臭素を含有する物質を消火剤とするもの。
*6 特定非営利活動法人消防環境ネットワーク:ハロン消火剤の回収・リサイクルのため、ハロン消火剤を使用するガス系消火設備等のデータベースを作成・管理する団体であり、平成18年1月に業務を開始した。「ハロンバンク推進協議会」(平成5年(1993年)7月設立)の業務を継承している。

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