1.令和3年7月静岡県熱海市土石流災害

 近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化していて、全国各地で災害が発生しています。
今後、それらの被害を防ぐためには、災害がなぜ起きたのか、どうすれば防ぐことができたのか、過去の事例を通じて学ぶことが大切です。

 2021年(令和3年)7月3日午前10時30分頃、静岡県熱海市の伊豆山地区で大規模な土砂災害が発生。この災害による被害は、死者27名、行方不明者1名、負傷者4名、そして、住家被害は98棟に及びました。

ご覧頂いたのは、いまだ記憶に新しい令和3年7月静岡県熱海市土石流災害の映像です。
この土石流災害は、なぜ起きたのでしょうか。

熱海市網代では、1日から3日24時までの72時間に、411.5mmという、7月の月降水量平年値の約1.7倍の記録的な大雨となりました。そのような中、熱海市では土石流が発生しました。土石流は、山腹、川底の石や土砂が長雨や集中豪雨などによって一気に下流へと押し流されるものをいいます。このような土石流などの土砂災害が発生しやすい地域は「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」として指定されています。

実は、災害が発生した地域は、土砂災害警戒区域に指定されている場所です。今回の土石流の発生は決してありえない話ではなかったのです。
では、私たちはこの災害からどんな教訓を得るべきなのでしょうか。

土砂災害は一瞬のうちに多くの人命や財産を奪う恐ろしい災害です。しかも、その発生を事前に予測することは非常に難しいです。令和3年7月静岡県熱海市土石流災害の教訓として、土砂災害警戒区域などに指定された場所は土砂災害の発生の可能性があること、大雨時は土砂災害の危険度が高まることを知っておくことです。そのうえで、早期に避難することが重要です。

では、こうした教訓を踏まえて、私たちはどのような対策・行動をするべきでしょうか。

土砂災害から身を守る3つのポイント。ひとつ目は!

「住んでいる場所が、土砂災害警戒区域などに指定されていないか確認しましょう。」

例えば市町村が作成する土砂災害ハザードマップを利用して、避難の際どこにどのように逃げるか考えておきましょう。普段から市町村などの避難訓練に参加して、避難に慣れておくようにしましょう。自分の家が土砂災害に遭う恐れがあるか、「国土交通省ハザードマップポータルサイト」で調べることができます。

土砂災害から身を守る3つのポイント。二つ目は!

「雨が降り出したら、土砂災害警戒情報に注意しましょう。」

土砂災害警戒情報は、大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町村長が避難指示を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報です。気象庁のホームページや各都道府県の砂防課などのホームページ、テレビやラジオの気象情報でも発表されます。自分が住んでいる地域の土砂災害危険度を確認したい場合は、「キキクル(危険度分布)」で調べてみましょう。

土砂災害の前兆にも注意が必要です。
崖や地面にひび割れができ、斜面から水が湧き出る。井戸や川の水が濁ったり、湧き水が止まる。小石がバラバラと落ちてくる。地鳴り・山鳴りがする。降雨が続くのに川の水位が下がる。樹木が傾いたり、立木が裂ける音や石がぶつかり合う音が聞こえる。
こんな前兆を感じたら、すぐに避難してください。

土砂災害から身を守る3つのポイント。三つ目は!

「警戒レベル4で、危険な場所から全員避難しましょう。」

防災情報で警戒レベル4に相当する土砂災害警戒情報が発表されたら、自治体からの避難指示の発令に注意しながら、避難指示が発令されていなくても、家族や親戚、地域の人たちに声をかけあい、早めに近くの避難場所など、安全な場所に避難しましょう。

高齢者や身体の不自由な人など、避難に時間を要する方や、夜中に大雨が想定される場合は、警戒レベル3でも避難してください。避難場所へ避難できないときは、近くの頑丈な建物の2階以上に避難しましょう。それも難しい場合は、家の中でより安全な場所、例えば崖から離れた部屋や2階などに避難しましょう。

土砂災害はいつ起こるか分かりません。災害が発生しても落ち着いて行動が取れるように、一人一人が日頃から備えておくことが大切です。
「自らの命は自らが守る」という意識を持ち、自らの判断で避難行動を取ることができるよう、家族との連絡方法、連絡先、非常用品、避難場所・経路などを事前に確認しておきましょう。

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