2.後編
女性MC「さて、災害に備え、家庭でやっておくべき一般的に重要な対策について紹介しました。ここからは、先ほどの能登半島の複合災害で得た教訓にもとづく防災対策についてみていきましょう。」
インタビュー 本谷一知様「インフラ全てそうですけれども、まず携帯電話ですね。2か月間は電波が通じない状態が続きまして、情報ツールがラジオしかないものですから、ここのテントにみんな集まってきてですね。なんせ皆、安否不明者に挙げられましてね、生きているのに...」
女性MC「教訓①は、複数の情報源、例えば、防災ラジオや紙の地図、地域放送などを確保することが重要、ということでした。災害の時になくてはならない重要なもののひとつ、それが情報です。ときには、モノ以上に情報が命を守る重要な要素になります。しかし、能登半島地震のときのように、長期にわたって停電した場合、携帯電話やインターネット、テレビなどが使えず情報が得られなくなってしまいます。その備えとして、防災ラジオ、ポータブル電源等を用意しておきます。故障していないか、電池切れになっていないか、定期的に確かめましょう。いざというとき役立つのが紙の地図です。電気やインターネットが通じてなくても使え、軽くて、必要なエリアの全体像を把握しやすいなどの利点があり、さらに、手書きの書き込みなど、自分専用の地図としてつくりかえることができます。また、地域放送は災害時、テレビなどのメディアでは伝えきれない、その地域に特化した詳しい災害情報や生活情報を発信します。それにより、被災した住民の皆さんが最も重要な避難情報や現地の状況などを知るうえで、非常に重要な役割を担います。続いて、教訓②は、避難所への避難だけでなく、親戚・友人宅への避難、在宅避難なども考えておくことが大切、ということでした」
パパ「能登半島の教訓で気なっていることがいろいろあるけど、そのひとつが避難所のことなんだ」
ママ「あのとき、場所によってはものすごく混雑して、避難生活を送るのは大変だったのよね」
パパ「床に雑魚寝をしたり、電気や水道が途絶えてトイレも使えないなんてことともあったらしいしね」
長男「ええ、ホントー!?」
長女「うちの近所の避難所は大丈夫かな?」
ママ「そうね、だから避難所へ避難するだけでなく、親戚やお友だちの家に避難したり、在宅避難なども考えておかなくちゃ」
長男「在宅避難って?」
パパ「ウチで避難生活するんだ。もちろん、自宅が深刻な被害を受けていないことが前提だけど」
女性MC「災害が発生したときに、避難のひとつとして自宅に留まる「在宅避難」があります。能登半島地震では、交通網が寸断されて「孤立」した地域に水や食料、医薬品などの救援物資が届かず、深刻な事態となりました。そこで教訓④を踏まえ、最低3日間、できれば1週間、家族で自力でしのげる備えをしておく必要があります。備蓄するものとして、食料、飲料水、また飲料用とは別に生活用水も必要です。日頃から、水道水を入れたポリタンクを用意しておくとよいでしょう。そして、携帯トイレや簡易トイレ、トイレットペーパー。災害避難の際、トイレの問題はとっても重要です。もし下水が被害を受けると、トイレに水を流すことができず使えなくなってしまうからです」
インタビュー 本谷理知子様「ただ、トイレが近いからね、みんな。高齢者の女性は特にトイレが一番困ったんじゃないかと思います。やっぱりポータブルトイレ、折りたたみ式のね。あれは最低限でも準備しておくべきだなと」
女性MC「さらに、救急箱のほか、ミルクや紙おむつなど小さなお子さんがいる家庭の備えや、生理用品など女性にとって必要な備え、そして、大人用紙パンツや介護食など高齢者向けの備えをするなど、それぞれの用途に応じた備えを事前にしておくことが大切です。続いて、教訓③は、地震の後も気象情報などを確認し、状況の変化や新たな危険の発生に応じて、一度避難した後に、再度避難行動をとる判断をすることが命を守る行動であり重要だ、ということでした」
ママ「能登半島地震では、地震の被災地に豪雨が追い打ちをかけて複合災害が起きたのよね」
長女「そういうことって、これからも起きるの?」
パパ「起きると思うよ」
長男「ええ、いつ!?」
パパ「それはわからないなぁ。明日かもしれないし、ずっと先かもしれない」
長男「そうなんだ・・・」
パパ「大切なのは、いつ起きても大丈夫なように備えをしておくこと。いま話にでた複合災害についていえば、地震の後には気象情報などの防災情報を確認して、必要ならさらにほかの場所に避難することも考えなくてはいけないよね」
ママ「地震が収まっても、それで終わりじゃないってことね」
女性MC「1月1日に起きた能登半島地震、そして、9月の豪雨災害を受けて、地震後の大雨に備える「複合災害」への備えが重要な教訓としてあげられました。予知が難しい地震と比べ、豪雨は被害を予測して事前に備えをすることができる災害です。そのために欠かせないのが、防災気象情報です。大雨による浸水、河川氾濫、土砂災害、高潮の危険度について5段階の警戒レベル相当情報として発表し、住民がとるべき行動を示します。
警戒レベル1、早期注意情報。災害への心構えを高めましょう。
警戒レベル2、注意報。避難場所や避難ルート、避難のタイミングなど、避難行動を確認しましょう。
警戒レベル3相当、警報。避難に時間を要する人は、早めに避難や避難準備をしましょう。
警戒レベル4相当、危険警報。危険な場所から全員避難しましょう。
警戒レベル5相当、特別警報。命の危険があります、直ちに身の安全を確保してください!」
気象災害の危険が認められる場所、例えば、急傾斜地や渓流の付近、河川や海岸周辺の低地などに、大雨・暴風・高潮などの激しい現象が加わると、土砂災害・洪水・浸水害等が発生し、命に危険が及ぶ非常に危険な状況となります。このため、お住まいの地区にはどのような危険があり、土砂災害・洪水・高潮など災害種別ごとに、命を守るためにはどのような避難行動をとる必要があるか。例えば、建物からの立退き避難が必要か、建物の2階などへの移動で命の安全を確保できるかなど、自治体の公表しているハザードマップやお住まいの地域で過去に発生した災害の記録を参考に、日頃からしっかり認識しておくことが大切です」
パパ「みんなで、災害に備えて家庭でやっておくべき大事なこと、例えば、安否確認の方法や避難場所の確認、避難の際に心がけること、在宅避難の備えなど、について、いろいろ話し合ったよね。そこで・・・それらを整理して、いざというとき誰がそれぞれ何をしなければいけないか、それをうまくひとつにまとめたいんだけどなぁ」
ママ「そうね、それがあればいざというとき、何をしたらよいか順序だててわかるわよね」
女性MC「そのために役立つのが、マイ・タイムラインです」
家族「マイ・タイムライン!?」
女性MC
「マイ・タイムラインとは、「いつ」、「何をするのか」を整理した、住民一人ひとりのタイムライン、つまり命を守る防災行動計画です。例えば、台風などの接近による大雨によって河川の水位が上昇する時のマイ・タイムラインを検討してみましょう。3つのステージに沿って進めていきます。
ステージ1、洪水リスクを知り、1つの状況で基本的な逃げ方を考える。
ステージ2、洪水について、例えば、夜間だったら、休日だったら、職場にいたらなど、異なる状況ごとの逃げ方を考える。
ステージ3、洪水以外の災害リスクも考慮して、複数の逃げ方を考える」
このステージを踏まえ、
ステップ1、知る。洪水ハザードマップを確認して、地域の水害リスクをチェックします。
ステップ2、気づく。水害は刻々と進行する「進行型災害」であることに気づき、洪水時に得られる情報と、防災行動を時間軸で考える重要性を学びます。
ステップ3、考える。いつ、例えば台風の予報がでたら、何を、例えばどう避難するかを確認するなど、
洪水時の具体的な行動をシミュレーションします。マイ・タイムラインは、どの様な避難行動が必要か、また、どういうタイミングで避難することが良いのかを自ら考え、さらには、家族と一緒に日常的に考えるものです。
ぜひ、皆さんも家族でトライしてみてください。
能登半島の複合災害が、私たちに教えてくれたこと。それは、災害はそのときだけでは終わらない。その後にどう生き抜くかが、命を守るカギだということです。防災とは災害を「避ける」だけでなく、「自分たちで生き延びる力」を身につけることでもあります。その力は、家庭の備え・日常の意識・地域のつながりから生まれます。ここで学んだことを、そのためにぜひ活かしてください。いつかくる災害への備えとして・・・」
チャプター
- 1.前編
- 2.後編
