3.災害時の自主防災組織の役割
大災害が発生しそうな時、又は、現実に起こってしまったとき、情報は大変重要なものです。
特に、災害が発生した直後などは、地域の混乱は避けられない状況になり、誤った情報を信用すれば、適切な防災活動に支障が生じることがあります。
自主防災組織の情報伝達には、いくつかの特徴があります。良い点は生かし、悪い点を改善するような工夫をしておきましょう。
1 情報の限界
主として人づてによるため、あまりたくさんの情報は伝えられません。
2 情報伝達速度の遅さ
住民には戸別に伝達するので、時間がかかります。
3 情報の不正確さ
人づてのため、情報内容がゆがみやすい。
4 情報のきめ細かさ
住民が本当に必要としている地域レベルの情報の伝達が可能。
5 伝達手段の利用可能性
人づてのため、地震や火災などで伝達手段が使えなくなるということはありません。
また、集まった情報、例えば地域の被害状況・住民の避難状況等を、市町村又は消防機関に報告するのも大切な任務です。
次に、「災害時」において徹底しておきたいのが、「出火防止」と「初期消火」です。
まずは、火災の発生を防ぐため、各家庭での次のような出火防止を行うことが重要です。
(1)使用中のガス器具、ストーブなどは、すばやく火を消す。
(2)ガス器具は元栓を閉め、電気器具はコンセントを抜く。
(3)電気のブレーカーを落とす。
また、隣近所でお互いに声をかけあって出火防止を図るようにしましょう。大地震発生時には、消防車の通行不能、火災の同時多発、消火栓の使用不能などの状況が発生し、消防機関の活動は、通常の火災の場合よりも大幅に制限されます。したがって、地域内で出火した場合には、自主防災組織が中心となって初期消火を行うことが必要となります。
大規模災害が起こった場合、又は発生する恐れがある場合においては、市町村長は、必要に応じて危険な地域の住民に対し、避難の勧告又は指示を行います。
しかし、災害の状況により、勧告又は指示が遅れたり、伝達が困難になることも予想されるので、危険が迫ったときは、自主防災組織として自主的に判断して避難することが必要な場合もあります。
【補足:避難は、危険が迫る前のほうがより安全に行うことができます。このことから、危険が迫ったときはもちろん、台風の接近など危険な状況が予想されるときには、自主的な判断が必要な場合があることを知っておいてください】
このため、避難誘導の責任者は、公共機関やラジオ放送の情報に注意し、安全な避難誘導を行いましょう。
大規模災害が発生した場合、出動した救急車も思うように活動ができなくなる恐れがあります。
このようなとき、自主防災組織として次のような点に十分配慮して、救出救護活動にあたる必要があります。
「救出活動」では、その状況に応じて、出来るだけ周囲の協力を求めることも、大事な役割です。
「救護活動」では、負傷者の状態に応じた手当が求められます。日頃から消防機関や、日本赤十字社などの講習会に参加し、熟練しておくことが大切です。「避難所」の運営についてですが、避難所での生活は、不安と不自由が道連れです。そんなときに味わう不公平感は、後々まで尾を引きます。住民に対してくれぐれも不公平感を持たれないような配慮が必要です。
共同生活をしていくに当たって、ゴミやトイレなど、実情に合った避難生活のルールを決めることや、壁新聞などを企画し、情報の共有や伝達方法を構築する手段を考えます。
お年寄りや子供、ハンディキャップを持っている「災害弱者」に対し、必要な支援について配慮することも重要です。
以上で、自主防災組織の役割についての解説を終わりますが、平常時や災害発生時に、地域の自主的な防災活動が活発に行われるか否かは、リーダーの見識や熱意などに負うところが大きいと考えられます。
自主防災活動にとって望ましいリーダーとは、
①防災のみならず、安心・安全まちづくり活動に関心が高く、かつ防災対策の経験も豊富である。
②行動力がある。
③地域において人望が厚い。
④自己中心的でなく、地域住民全体のために考えられる。
⑤多数意見をとりまとめ、また、少数意見を尊重できる。
といった要件を備えた人と考えられます。
自分自身を救うために、また、多くの人達を助けるために、人と人とのつながりを大切にして、地域の防災リーダーとして貢献してください。
チャプター
- 1.はじめに
- 2.平常時の自主防災組織の役割
- 2.平常時の自主防災組織の役割:補足
- 3.災害時の自主防災組織の役割
- 出典・協力・資料提供