関東・東北豪雨災害に学ぶ
4.命を守るための教訓

 こうした水害は、今後、日本中どこでも起きる可能性があります。今回の水害からは、次の5つの点を、命を守るための教訓として挙げることができます。
 ①まず、自分が住んでいる場所に、どのような水害の危険性があるのか、過去の災害やハザードマップで確認しましょう。鬼怒川の堤防が常総市内で決壊したのは、1938年9月以来77年ぶりのことでした。過去に起きたことは、再び起きる可能性があります。堤防などが整備されたとしても、災害はそれを上回ることもあります。地元の市町村が作成している地域防災計画を見ると、過去の災害について記述されています。
 また、市町村などが作成しているハザードパップを確認することも有効です。常総市の市民を対象としたアンケートでは約6割の人が「ハザードマップを知らない、見たことがない」という結果でした。いざというときには、ハザードマップを見て危険を判断することもできますので、玄関などの見やすい場所に貼っておきましょう。

  ②二つ目は、避難場所の確認です。ハザードマップには、水害に備えて市町村が指定した「指定緊急避難場所」が示されています。最寄りの指定緊急避難場所やいざという時の避難ルート、避難方法を家族で話し合って決めておきましょう。
 ③三つ目は、非常持出品の備えです。今回の水害で孤立してしまった人へのアンケートでは、「電気が止まった」「水道が止まった」「テレビが見られなかった」「トイレが使えなかった」などさまざまな困難が挙げられました。特に停電になるとテレビが見られなくなり、情報を入手することが難しくなります。また、夜間の災害では真っ暗になってしまいます。ラジオや懐中電灯は、命を守るための必需品です。
 ④四つ目は、主体的な避難の判断です。常総市では、鬼怒川の堤防が決壊する以前に、避難勧告などが発令されていた地区もありましたが、決壊地点付近も含めて堤防決壊の時点で避難勧告などが発令されていない地区もありました。ひとり一人が、自分自身でラジオなどから情報を入手し、避難勧告などが発令されていなくても、危険と判断した場合には自主的に避難することが大切です。
 今回の災害では、多くの方がヘリコプターやボートなどで救助されましたが、天候が悪かったり、夜間の場合にはヘリコプターによる救助活動ができないこともあります。堤防沿いや浸水が深くなることが予想されている場所に住む人は、水の流れで家が流されてしまうことも想定し、早めの避難を心がけましょう。隣近所の方にも声をかけ合って避難すると、周りの人たちの避難も促進されます。
 ⑤五つ目は、状況に応じた安全確保です。万が一、周りが既に浸水しているような場合は、無理に指定緊急避難場所を目指すのではなく、屋内の高い場所で安全を確保しましょう。一般に50cm以上の浸水で流れがある場所での避難は危険です。20㎝程度でも流れが速いと歩きにくくなります。マンホールや用水路に転落してしまう危険もあります。また、自動車もエンジンが止まり、水圧でドアやパワーウインドウが開かなくなることもあり、大変危険です。

続きを読む