防災ゲーム クロスロード
2.ジレンマに立ち向かう力をつけよう

このような、「こちらを立てればあちらが立たず」という状態を「ジレンマ」といいます。
防災や災害対策においてはたくさんのジレンマが発生します。なぜなら、立場が違えば考え方やしてほしいことも違うからです。
しかしそんなときも、人はよりよい解決法を、すばやく判断しなければなりません。


ジレンマに立ち向かう判断力が身につけば、防災にとても役立つはずです。
そこで、「クロスロード」という防災ゲームがつくられました。
クロスロードとは、分かれ道のことです。

ゲームのなかでは、災害時によくあるジレンマをテーマにして、YESかNOか、つまりどちらの道に行けばよいかを判断します。
この判断力を養うことは、災害を自分にもおこりうる問題として考える効果的な訓練になります。
また、自分やほかの人がなぜそう判断したかをグループで話し合うことで、異なる立場や考え方にも気づくことができます。
これを重ねることにより、ジレンマに打ち勝つ方法を見つける力がつきます。

「クロスロード」が広まったのは、阪神・淡路大震災がきっかけとなっています。
文部科学省が進める「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として開発され、まず平成16年に「神戸編・一般編」が完成しました。
「神戸編・一般編」は、阪神・淡路大震災の際に、神戸市の職員が実際に直面したジレンマを素材としています。
さらに一般住民の防災・減災をテーマにした「市民編」や、災害時のボランティア活動のあり方に焦点を絞った「災害ボランティア編」も加わりました。

その後、全国の防災訓練で、クロスロードを使った防災ゲームが行われています。
自治体でこのゲームを行うと、参加者一人ひとりのジレンマ対応力が養われるほか、その地域で求められる防災や災害対策を具体的に知ることができるといった効果があります。

続きを読む