事業者の方へ製造・輸入・販売時の対策

安全確保やリサイクル法規制と行政の取り組みについて

リチウムイオン蓄電池の普及に伴い、発火事故リスクが増大しています。経済産業省が公表している資料等に基づき、事業者の皆さんが遵守すべき法規制と、製品安全を確保するための具体的な対策を解説します。

安全性を高める

電気用品安全法の基準明確化・規制強化

規制の対象化

モバイルバッテリー(体積エネルギー密度400Wh/L以上のリチウムイオン蓄電池)について、平成30年2月より電気用品安全法の規制が適用されました。

  1. 適用開始

    モバイルバッテリー(エネルギー密度400Wh/L以上のリチウムイオン蓄電池)について、電気用品安全法の規制が対象化。

  2. 規制強化

    上限充電電圧超過による発火事故防止のため、電圧監視に関する要件を明確化するなど規制強化。

    電圧監視の有無による事故イメージ比較

    電圧監視の有無による事故イメージ比較

    【出典】第14回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会(令和6年3月18日)

  3. 経過措置期間(2年間)が満了。より安全性の高いリチウムイオン蓄電池の流通に期待。

電圧監視の有無による事故イメージ比較

電圧監視の有無による事故イメージ比較

【出典】第14回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会(令和6年3月18日)

安全規格の徹底

電気的要因による火災もカバーするため、電池単体の規格(IEC62133-2/JIS C 62133-2)に加え、 機器側の規格(IEC62368-1/JIS C 62368-1)を適用することが望ましいです。
「電気用品名と解釈別表第十二の基準との対応表」においても、電池単体の規格と機器側の規格と併用することが妥当とする報告書を令和7年2月に取りまとめています。

電池単体と機器側の安全基準の比較

機器側の規格(IEC62368-1/JIS C 62368-1)は、電池単体の規格(IEC62133-2/JIS C 62133-2)に加え、以下を網羅しています。

  • 電気的要因による火災に対する防火用エンクロージャの要求
  • 熱エネルギーによる熱傷を防止するための温度上昇の判定
  • 充電セーフガード
電気用品安全法の詳細

流通・販売時の監視強化

ネットパトロール事業による
違法製品監視強化

ネットパトロール事業の流れ
  1. 監視・情報収集

    経済産業省や委託機関が、オンラインモールやECサイトを定期的に監視。

  2. 違反疑いの確認
    • 適合性判断:製品安全4法の規制対象製品について、PSマーク等の法令適合性を判断。
    • 調査規模:5品目 × 30製品 × 8ヶ月の体制で調査を実施(令和7年度実績)。
  3. 違反対応
    • 事実確認:違反の疑いがある場合、出品者に対して事実確認を実施。
    • 削除要請:日本版「製品安全誓約」に基づき、必要に応じて対象製品の出品削除を要請。

※製造・輸入事業者は、リチウムイオン蓄電池を販売する際、電気用品安全法で定められた技術基準に適合させた上で、PSEマークおよび届出を行った事業者名を表示することが義務付けられています。

PSEマークの例

PSEマークの記載例

※出典:経済産業省ウェブサイト「電気用品安全法(モバイルバッテリーに関するFAQ)」

連絡不通事業者の公表

連絡不通事業者とは
対象事業者

製品安全4法に関係する製造・輸入・販売事業者(届出・非届出事業者)のうち、一定の事由から連絡を試みるものの、連絡の取れなかった事業者

想定される事由例
  • 製品安全4法の執行上、一定の事実確認を行いたい届出事業者
  • ネットパトロール事業を通じて表示不備と確認された事業者
  • 試買テストを通じて、技術基準不適合と確認された事業者
連絡不通事業者リストの確認・公表手順
確認作業

製品安全4法上の一定の事実確認を行うにあたり、3回以上連絡を試みても連絡が取れない事業者を特定(連絡手段は電話・メールが基本)。

3回目の連絡から14日以上経過しても連絡がない場合に、該当事業者名を公表。

※行政手続法第15条に準じて設定

更新頻度

リスト更新の頻度は四半期に一度を目処とし、事業者と連絡が取れた場合等には都度リストから削除する。

NITEによる事故原因究明の体制強化

NITE(製品評価技術基盤機構)において、以下の取り組みをもって本質的な解明を目指す体制強化を図ります。

調査・対応の方向性

1. LIB搭載製品に特化した調査体制の確立(NITE)

専門チームによる深掘り調査の強化を図ります。

詳細調査の実施内容
  • 材料分析:SEM-EDX等を用い、電極材料・絶縁体の劣化や異物混入を確認
  • 電気的評価:端子間電圧、内部抵抗(低周波)等の評価
  • 構造観察:X線CT検査によるLIBセル構造の詳細観察
検証・試験内容
  • 原因特定の見極め後、推定原因に基づき同等品での検証実験を実施
  • 技術基準適合確認のため、外部検査機関による依頼試験を実施
事故情報の整理・分析
  • 過去の事故事例を体系的に整理し、類似事例の傾向分析・要因比較を実施
  • 製造・輸入事業者への調査協力依頼(製造工程や自主検査記録の提供等)を再徹底
2. 海外動向調査(METI)

国際的な規制や事例を把握し、国内制度の改善に繋げます。

規制・制度の比較分析
  • EU電池規則(Battery Regulation)や米国のCPSCの対応など、制度の違いを把握
  • 日本の制度とのギャップを明確化し、改善案に活用
事故対応事例の収集
  • 海外の事故調査手法、専門機関の体制、再発防止策などを調査
国際連携
  • 諸外国との国際連携・情報交換を推進

資源を有効に活用する

「資源有効利用促進法」に基づき、リチウムイオン電池の再資源化を促進するため、製造・輸入販売事業者にはリサイクルマークの表示や、容易に取り外すことができない「一体型製品である3品目」への措置が求められています。

リチウムイオン電池の再資源化
※出典:リチウムイオン電池総合対策パッケージ(個別施策集)

表示例と取扱説明書の記載例

リサイクルマークの表示例(業界ガイドライン)

『家電製品の小型二次電池使用機器の表示ガイドライン』(一般財団法人 家電製品協会発行)

リサイクルマーク

電気カミソリ

掃除機

取扱説明書の記載例

リチウムイオン電池のリサイクル協力を案内する取扱説明書の例

出典 2025年7月30日開催第1回産業構造審議会イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会指定再資源化製品ワーキンググループにおける一般社団法人JBRCと一般社団法人日本電機工業会発表資料