平成20年版 消防白書

1 火災

危険物施設における火災の発生件数は平成18年まで増加傾向にあったが、平成19年は減少に転じている。火災の主な要因としては、一般取扱所、給油取扱所、製造所等における管理不十分・確認不十分等の人的要因を挙げることができる。

(1)危険物施設における火災発生件数と被害

平成19年中の危険物施設における火災の発生件数は169件(対前年比54件減)、損害額は42億941万円(同13億7,655万円増)、死者は11人(同1人増)、負傷者は82人(同3人減)となっている(第1-2-2図)。

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また、危険物施設別の火災発生状況をみると、一般取扱所、製造所及び給油取扱所での火災が全体の93.5%を占めている(第1-2-3図)。

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さらに、これらの火災のうち103件(全体の60.9%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。

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(2)火災の発生原因の半数以上は人的要因

平成19年中に発生した危険物施設における火災の発生原因については、人的要因が62.7%と最も多く、次いで物的要因が18.9%、その他の要因(不明、調査中を含む。)が18.4%となっている(第1-2-5図)。

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また、着火原因をみると、静電気火花が最も多く、次いで過熱着火、溶接・溶断等火花の順となっている(第1-2-6図)。

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(3)無許可施設の火災

製造所、貯蔵所又は取扱所として許可を受けていない無許可施設での平成19年中の火災の発生件数は11件(対前年比7件増)であり、死者は1人、負傷者は8人となっている。
なお、これらの火災による損害額は9,923万円となっている。

(4)危険物運搬中の火災

平成19年中の危険物運搬中の火災の発生件数は4件で、死者はなく、負傷者は1人となっている。
なお、これらの火災による損害額は22万円となっている。

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