平成20年版 消防白書

2 流出

危険物施設における危険物の流出事故の発生件数は前年より増加し、統計を取り始めて以来過去最多となっている。流出の主な要因として、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所、地下タンク貯蔵所等の危険物施設の腐食疲労等劣化、確認不十分、管理不十分等を挙げることができる。

(1)危険物施設における流出件数と被害

平成19年中の危険物施設における危険物流出事故発生件数(火災に至らなかったもの)は434件(対前年比59件増)、損害額は4億2,762万円(同4,116万円減)、死者はなく(前年と同じ)、負傷者は28人(対前年比3人増)となっている(第1-2-7図)。

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また、危険物施設別の流出事故発生状況をみると、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所及び地下タンク貯蔵所での流出が全体の59.9%を占めている(第1-2-8図)。

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さらに、危険物施設における流出事故のうち、99.1%が第4類の危険物の流出となっている。これを品名別にみると、第3石油類(重油等)、第2石油類(軽油等)、第1石油類(ガソリン等)、第4石油類(ギヤー油等)の順となっている(第1-2-9図)。

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(2)流出事故の約4割は腐食疲労等劣化が原因

平成19年中に発生した危険物施設における流出事故の発生原因をみると、物的要因が48.8%と最も多く、続いて人的要因が44.5%、その他の要因(不明、調査中を含む。)が6.7%となっている(第1-2-10図)。
流出事故の発生原因を個別にみると、腐食疲労等劣化によるものが38.5%と最も多く、次いで確認不十分によるものが14.5%、管理不十分によるものが12.2%となっている(第1-2-10図)。

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(3)無許可施設での流出事故

製造所、貯蔵所又は取扱所として許可を受けていない無許可施設での平成19年中の流出事故の発生件数は5件(対前年比4件減)であり、死者、負傷者は発生していない。
なお、これらの流出事故による損害額は15万円となっている。

(4)危険物運搬中の流出事故

平成19年中の危険物運搬中の流出事故の発生件数は10件(同2件減)であり、死者、負傷者は発生していない。
なお、これらの流出事故による損害額は1,522万円となっている。

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