平成20年版 消防白書

[林野火災対策の課題]

効果的な林野火災対策を推進するためには、出火防止対策の一層の徹底を図るとともに、特に次の施策を積極的に講じる必要がある。
〔1〕 気象台から発せられる気象情報や火災気象通報を踏まえて、林野火災発生の可能性を勘案し、必要に応じて火災警報の効果的な発令を行うなど、火気取扱いの注意喚起や制限を含めて適切に対応すること。
〔2〕 各地方公共団体における火災警報の発令に役立てていくため、今後、火災気象通報における地域区分の細分化に関する取組を促進していくこと。
〔3〕 林野火災を覚知した場合、早急に近隣の市町村に対して応援要請を行うなど、林野火災の拡大防止を徹底すること。特に、ヘリコプターによる偵察及び空中消火を早期に実施するため、速やかな事前通報及び派遣要請に努めるとともに、ヘリコプターによる空中消火と連携した地上の効果的な消火戦術の徹底を図ること。また、ヘリコプターの活動拠点の整備促進を図ること。
〔4〕 林野火災状況の的確な把握、防ぎょ戦術の決定、効果的な部隊の運用と情報伝達及び消防水利の確保等を行うため、林野火災の特性及び消防活動上必要な事項を網羅した林野火災防ぎょ図を、GIS(地理情報システム)の活用も視野に入れて整備するなど、関係部局においてその共有を図ること。
〔5〕 防火水槽等消防水利の一層の整備を図ること。特に、林野と住宅地とが近接し、住宅への延焼危険性が認められる地域における整備を推進すること。
〔6〕 周辺住宅地及び隣接市町村への延焼拡大防止を考慮した有効な情報通信体制の整備を図るとともに、これを活用した総合的な訓練の実施に努めること。

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