平成20年版 消防白書

3 出火防止対策

(1)出火防止対策の徹底

林野火災の出火原因は、たき火、たばこ及び火入れによるものが圧倒的に多く、併せて、林野火災の消火には多くの困難を伴うことから、林野火災対策は、特に出火防止の徹底が重要である。消防庁では、次の事項に重点を置いて出火防止対策を推進している。
〔1〕 林野周辺住民、入山者等の防火防災意識を高めること。特に、出火が行楽期等一定の期間に集中し、かつ土・日曜日、祝日に多いことから、このような多発期前に徹底した広報を行うこと。
〔2〕 火災警報発令中における火の使用制限の徹底を図るとともに、監視パトロールを強化すること。
〔3〕 「火入れ」に当たっては、必ず市町村長の許可を受けて、その指示に従うとともに、消防機関に連絡をとるよう、指導の徹底を図ること。
〔4〕 林野所有者に対して、林野火災予防措置の指導を強化すること。
また、毎年、林野庁と共同で、春季全国火災予防運動期間中の3月1日から3月7日までを全国山火事予防運動の統一実施期間とし、統一標語を定め、テレビ、新聞、ポスター等を用いた広報活動や消火訓練等を通じた山火事予防を呼びかけている。

(2)林野火災に係る調査研究

消防庁では、これまで、〔1〕異常乾燥・強風下における林野火災対策のあり方についての検討(林野庁と共同)、〔2〕森林レクリエーション利用者の増大に対する林野火災対策に関する検討、〔3〕林野周辺の住宅地開発の増加に伴う延焼拡大防止対策に関する調査(林野庁と共同)、〔4〕林野火災対策に係る消防水利のあり方に関する調査、〔5〕林野火災における消火・広域応援体制に関する調査、〔6〕林野火災の予防対策のあり方やヘリコプターによる空中消火のあり方の検討、〔7〕林野火災の有効な低減方策の検討、〔8〕広域的な林野火災の発生時における消防活動体制のあり方に関する検討を行っている。

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