平成20年版 消防白書

2 広域応援による消防活動

(1)広域応援体制の整備

林野火災は、対応が遅れると貴重な森林資源を大量に焼失するばかりでなく、家屋等に被害が及ぶことや市町村境、隣接都府県境を越えて拡大することもある。
消防庁では、地方公共団体に対し、林野火災が発生した場合、十分な消防力を迅速に投入するとともに、ヘリコプターによる情報収集や、空中消火を実施するための体制の整備を進め、必要に応じて早期に広域応援の要請を行うよう呼びかけている。

(2)空中消火の実施状況

ヘリコプターによる情報収集と空中消火は、広域応援や地上の消火活動との連携による迅速かつ効果的な消火活動を実施するために欠かせない消防戦術であり、消防庁は、地方公共団体に対し、比較的小規模な林野火災でも空中偵察と空中消火を実施し、早期消火に努めるよう要請している。
空中消火は、都道府県や消防機関が保有する消防防災ヘリコプターや都道府県知事からの災害派遣の要請を受けて出動した自衛隊のヘリコプターにより実施されている。
過去10年間の空中消火の実施状況は、第1-4-1図のとおりとなっている。

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なお、消防庁では、平成7年度から林野火災時にヘリコプターが安全に離着陸し、効率よく水利を確保するとともに、平常時においては地域住民が多目的に利用できる「林野火災用活動拠点広場」の整備事業に対して、国庫補助を行っている。

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