平成20年版 消防白書

5 その他の教育訓練

救急救命士養成のための教育訓練については、救急救命士(第2章第4節参照)の資格を国家試験により取得するため救急隊員の養成所として、財団法人救急振興財団(以下「救急振興財団」という。)が救急救命東京研修所(年間600人規模)及び救急救命九州研修所(年間200人規模)を開設している。
また、大都市の消防機関等でも救急救命士養成所を設置しており、平成20年度には、あわせて全国で約1,163人の消防職員が救急救命士の資格取得のための教育を受けている。
これらの救急救命士養成所では、「救急救命士学校養成所指定規則」(平成3年文部省・厚生省令第2号)に基づき、講義及び実習が行われている。
そのほか、出火原因の究明率向上等、火災原因調査体制の整備充実を図るため、消防研究センターにより、基礎的な火災調査に係る知識・技術の習得を目的とした講座が開催されている。
また、消防機関においても、生物・化学災害発生時における要救助者の迅速な救出体制や、隊員の安全管理体制を強化すること等が求められていることから、消防庁においても、平成8年度から、生物・化学災害を担当する消防職員を陸上自衛隊化学学校における教育訓練に参加させ、消防機関における生物・化学災害対応能力の充実を図っている。

緊急消防援助隊教育の総合展開

近年は大規模災害発生時における緊急消防援助隊の更なる指揮・連携能力の向上、複雑多様化する災害に対処する際の専門的な知識・技術が求められています。
消防大学校では、これらに対応すべく、次の5つのコースを設け、実践的な緊急消防援助隊教育を総合展開しています。

○指揮隊長コース

緊急消防援助隊の指揮支援部隊長、指揮支援隊長、都道府県隊長又は都道府県隊指揮隊長を対象として、部隊指揮要領、航空隊との連携及び過去の災害事例などの講義のほか、シミュレーションを通じて災害時の現地調整本部の適正な運用方法を疑似体験する図上訓練を行っています。

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○航空隊コース

航空消防隊の救助隊員等を対象として、航空関係法制及び航空管理の講義のほか、東京消防庁の教育支援を受け、航空訓練施設による基本・駐機・模擬飛行訓練を行っています。

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○航空隊長コース

消防防災ヘリコプターの隊長、副隊長及びパイロットを対象として、消防航空行政を中心に、大規模災害における救援航空機の活動統制、関係機関の航空機運用について訓練を行っています。

○高度救助コース

高度な資機材を装備している政令指定都市、中核市又は都道府県庁所在都市の救助隊の隊長を対象として、高度資機材の取扱い訓練、高度救助活動の現場管理の講義のほか、同時多発災害(地震災害)を想定した実技訓練を行っています。

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○NBC・特別高度救助コース

緊急消防援助隊のNBC災害対応要員、特別高度救助隊の隊長等を対象として、広域消防応援体制、防衛省及び災害医療をはじめとする関係各機関による特殊災害発生時における対応方法についての講義のほか、高度救助資機材及びNBC対応資機材を使用した想定訓練を行っています。

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