平成20年版 消防白書

2 救急業務の実施体制

(1)救急業務実施市町村は全体の98.0%

救急業務実施市町村数は、平成20年4月1日現在、1,753市町村(784市、801町、168村)となっている(東京都特別区は、1市として計上している。以下同じ。)(第2-4-5表)。

h201053.gif

市町村合併の進展により全市町村数が1,789(平成20年4月1日現在)まで減少したことに伴い、救急業務実施市町村数も減少しているが、98.0%(前年98.0%)の市町村で救急業務が実施され、全人口の99.9%(前年99.9%)がカバーされている(人口は、平成17年の国勢調査人口確定値による。以下同じ。)こととなり、引き続き、ほぼすべての地域で救急業務のサービスを受けられる状態となっている(附属資料35)。
なお、救急業務形態の内訳は単独が491市町村、委託が135市町村、組合が1,127市町村となっている(第2-4-4図)。

h201054.gif

(2)救急隊数及び救急隊員数

救急隊は、平成20年4月1日現在、4,871隊(対前年比25隊増)が設置されている(第2-4-5図)。

h201055.gif

救急隊員は、人命を救護するという重要な任務に従事することから、最低135時間の救急業務に関する講習(旧救急I課程)を修了した者等をもって充てるようにしなければならないとされている。平成20年4月1日現在、この資格要件を満たす消防職員は全国で11万2,178人(対前年比2,726人増)となっており、このうち5万9,222人が、救急隊員として救急業務に従事している(第2-4-6図)。

h201056.gif

消防庁では、より高度化する救急需要に応えるため、救急救命士の養成を推進する一方、250時間の救急科(旧救急標準課程及び旧救急II課程を含む。)を修了した救急隊員の養成を推進している。平成20年4月1日現在、救急科修了者(旧救急標準課程及び旧救急II課程修了者を含む。)は、7万4,027人であり、うち、3万7,815人が救急隊員として救急業務に従事している。

(3)救急救命士

消防庁では、全ての救急隊に救急救命士が少なくとも1人配置される体制を目標に救急救命士の養成と運用体制の整備を推進している。
平成20年4月1日現在、救急救命士を運用している消防本部は、全国807消防本部のうち806本部で、その運用率は99.9%(前年99.9%)であり救急救命士を運用している救急隊は年々増加し、全国4,871隊の救急隊のうち88.5%(前年86.3%)を占める4,310隊(対前年比129隊増)となっている。また、救急救命士の資格を有する消防職員は2万1,840人(対前年比1,772人増)、救急救命士として運用されている救急隊員は1万8,336人(対前年比1,118人増)と年々着実に増加している(第2-4-7図、第2-4-8図)。

h201057.gif
h201058.gif
h201059.gif

(4)救急自動車

全国の消防本部における救急自動車の保有台数は、予備車を含め、平成20年4月1日現在、5,899台(対前年比24台増)である。
このうち、拡大された応急処置等を行うために必要な高規格の救急自動車は4,503台(対前年比112台増、2.6%増)が配置されており、今後、さらに高規格の救急自動車の割合を高めていくよう推進している。

(5)高速自動車国道等における救急業務実施体制

高速自動車国道、瀬戸中央自動車道及び神戸淡路鳴門自動車道(以下「高速自動車国道等」という。)における救急業務は、市町村の規模、救急処理体制、インターチェンジ間の距離その他の事情を勘案して、一定の基準に基づき高速自動車国道等のインターチェンジ所在市町村が実施している。
高速自動車国道等における救急業務の実施状況は、平成20年3月末現在、供用延長7,658kmのすべての区間について市町村の消防機関が実施している。
また、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社及び本州四国連絡高速道路株式会社においては、救急業務実施市町村に対し、高速自動車国道等の特殊性を考慮して、一定の財政措置を講じている。

関連リンク

はじめに
はじめに 昭和23年3月7日に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする我が国の自治体消防制度が誕生してから、本年で60周年を迎えました。これを記念して、本年3月7日の消防記念日には、自治体消防制度60周年記念式典を開催し、我が国における消防の発展を回顧するとともに国民から消防に課せられた使命の重...
1 地域総合防災力の強化の必要性
特集 地域総合防災力の強化~消防と住民が連携した活動の重要性~ 1 地域総合防災力の強化の必要性 (1)切迫する大規模災害 我が国では平成20年度も、岩手・宮城内陸地震や相次ぐ水害など、全国各地で大規模な自然災害による被害が発生している。 集中豪雨が頻発していることや、東海地震、東南海・南海地震、首...
2 地域防災の中核的存在である消防団の充実強化
2 地域防災の中核的存在である消防団の充実強化 (1)消防団の役割~連携のつなぎ役~ 地域総合防災力の強化を考える上では、以下の点から消防団の役割が極めて重要となる。 第一に、消防団は「自らの地域は自らで守る」という精神に基づき、住民の自発的な参加により組織された住民に身近な存在であるという点である...
3 自主防災組織などの活動
3 自主防災組織などの活動 (1)自主防災組織 防災体制の強化については、公的な防災関係機関による体制整備が必要であることはいうまでもないが、地域住民が連帯し、地域ぐるみの防災体制を確立することも重要である。 特に、大規模災害時には、電話が不通となり、道路、橋りょう等は損壊し、電気、ガス、水道等のラ...