第7節 広域消防応援と緊急消防援助隊
1 消防の広域応援体制
(1)消防の相互応援協定
市町村は、消防に関し必要に応じ相互に応援すべき努力義務があるため、消防の相互応援に関して協定を締結するなどして、大規模な災害や特殊な災害などに適切に対応できるようにしている。
その締結状況は、平成20年4月1日現在、同一都道府県内の市町村間の協定数が1,747、異なる都道府県域に含まれる市町村間の協定数が563、その合計である全国の協定数は2,310である。また、全国の協定について応援する災害別に分類(重複計上)すると、火災1,939、風水害1,546、救急1,763、救助1,601、その他1,773となっている。
現在、すべての都道府県において都道府県下の全市町村及び消防の一部事務組合等が参加した消防相互応援協定(常備化市町村のみを対象とした協定を含む。)が結ばれている。
さらに、特殊な協定として、高速道路(東名高速道路消防相互応援協定他)、港湾(東京湾消防相互応援協定他)や空港(関西国際空港消防相互応援協定他)などを対象としたものがある。
(2)消防広域応援体制の整備
大規模な災害や特殊な災害などに対応するためには、市町村あるいは都道府県の区域を越えて消防力の広域的な運用を図る必要がある。
このため、消防庁では、2に述べる緊急消防援助隊の充実・強化を図るとともに、大規模・特殊災害や林野火災等において空中消火や救助活動、救急活動、情報収集、緊急輸送など消防防災活動全般にわたり、ヘリコプターの活用が極めて有効であることから、その運用をより効果的に実施するため、「大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施要綱」を策定して、応援要請の手続の明確化等を図り、消防機関及び都道府県の保有する消防防災ヘリコプターによる広域応援の積極的な活用を推進している(第2-7-1表)。

平成19年7月の梅雨前線による大雨により、熊本県下益城郡美里町において孤立した住民を、地元熊本県防災航空隊及び同要綱の規定に基づき出動した福岡市消防局航空隊のヘリコプターにより、悪天候の中29人を救助するなどの実績をあげている。


今後とも消防防災ヘリコプターの広域的かつ機動的な活用を図るとともに、臨時離着陸場の確保並びに、情報収集活動を行うためのヘリコプターテレビ電送システム及び画像伝送システムの整備等を推進することにより、全国的な広域航空消防応援体制の一層の充実を図る必要がある。