平成21年版 消防白書

3 特定事業所における防災体制

(1)自衛防災組織等の現況

石油コンビナート等災害防止法では、特別防災区域に所在する特定事業所を設置している者(以下「特定事業者」という。)に対し、自衛防災組織の設置、防災資機材等の配備、防災管理者の選任及び防災規程の作成などを義務付けている。また、各特定事業所が一体となった防災体制を確立するよう、共同防災組織*3、広域共同防災組織*4及び石油コンビナート等特別防災区域協議会(以下「区域協議会」という。)*5の設置について定めている。

*3 共同防災組織:一の特別防災区域に所在する特定事業所に係る特定事業者が、共同して自衛防災組織の業務の一部を行うために設置する防災組織

*4 広域共同防災組織:二以上の特別防災区域にわたる区域に所在する特定事業所に係る特定事業者が、共同して大容量泡放水砲等を用いて行う防災活動に関する業務を行うために設置する広域的な共同防災組織

*5 区域協議会:一の特別防災区域に所在する特定事業所に係る特定事業者が、共同して災害発生防止等の自主基準の作成や共同防災訓練などを実施することを目的に設置する協議会

平成21年4月1日現在、全事業所(717事業所)に自衛防災組織が置かれ、このほか75の共同防災組織、11の広域共同防災組織及び57の区域協議会が設置されている。これらの自衛防災組織、共同防災組織及び広域共同防災組織には常時防災要員5,114人、大型化学消防車115台、大型高所放水車67台、泡原液搬送車148台、大型化学高所放水車98台、大容量泡放水砲24基、油回収船31隻等が配備されている。
さらに、特定事業所には、個別施設に対する防災設備のほかに、事業所全体としての防災対策の強化を図るため、施設の規模に応じて流出油等防止堤、消火用屋外給水施設及び非常通報設備を設置しなければならないこととされている。平成21年4月1日現在、流出油等防止堤が170事業所に、消火用屋外給水施設が528事業所に、非常通報設備が717の事業所にそれぞれ設置されている。

(2)自衛防災体制の充実

石油コンビナートにおける消防活動は、危険物等が大量に取り扱われていることや設備が複雑に入り組んでいることから困難な場合が多く、また大規模な災害となる可能性が高いことから、災害発生時には、自衛防災組織や共同防災組織による的確な消防活動を行うことが要求されるとともに、防災要員には広範な知識と技術が必要とされる。消防庁では、自衛防災組織等における防災活動、防災訓練及び防災教育のあり方について「自衛防災組織等のための防災活動の手引」、「防災要員教育訓練指針」等を示しており、引き続き自衛防災体制の充実を図ることとしている。

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