平成21年版 消防白書

[ガス災害対策]

1 ガス災害の現況と最近の動向

(1)事故の発生件数

平成20年中に発生した都市ガス及び液化石油ガス(LPG)の漏えい事故又は爆発・火災事故のうち消防機関が出場したもの(以下「ガス事故」という。)の総件数は、1,130件(対前年比11件増)である。これをガスの種別ごとにみると、都市ガスに係るものが743件(対前年比57件増)、液化石油ガスに係るものが387件(対前年比46件減)となっている(第1-8-2図)。

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ガス事故を態様別にみると、漏えい事故が全体の81.4%、爆発・火災事故が同18.6%であり、ガスの種別ごとにみると、都市ガス事故の91.9%が漏えい事故、同8.1%が爆発・火災事故、液化石油ガス事故の61.2%が漏えい事故、同38.8%が爆発・火災事故となっている(第1-8-2図)。

事故を発生場所別にみると、消費先におけるものがガス事故全体の79.9%、ガス導管等消費先以外におけるものが同20.1%となっている(第1-8-3図)。

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消費先において発生した事故を発生原因別にみると、元栓(コック)の誤操作・火の立ち消え等、消費者に係る場合が54.3%、ガス事業者・工事業者に係る場合が13.4%となっている。
ガスの種別ごとにみると、都市ガス事故全体の59.1%が消費者に係る場合、同11.1%がガス事業者・工事業者に係る場合となっており、液化石油ガス事故全体の46.4%が消費者に係る場合、同17.1%がガス事業者・工事業者に係る場合となっている。

(2)ガス事故による死傷者数

平成20年中に発生したガス事故(自損行為によるものを含む。)による死者数は10人(対前年比3人減)、負傷者数は188人(対前年比11人減)である。死者は、都市ガスによるものが4人(対前年比3人減)、液化石油ガスによるものが6人(前年同数)となっている。負傷者は、都市ガスによるものが64人(対前年比7人減)、液化石油ガスによるものが124人(対前年比4人減)となっている。
死傷者を事故の態様別にみると、死者数では漏えい事故と爆発・火災事故が同数となっており、負傷者数は爆発・火災事故によるものが70.2%となっている(第1-8-4図)。

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(3)自損行為によるガス事故

平成20年中に発生したガス事故のうち、自損行為に起因する事故はガス事故全体の3.9%に当たる44件で、これらの事故による死者数は7人(死者全体の70.0%、前年同数)、負傷者数は32人(負傷者全体の17.0%、対前年比28人減)となっている。
自損行為に起因する事故は、漏えい事故にとどまったものは32件(対前年比11件減)、爆発・火災事故にまで至ったものが12件(対前年比3件減)となっている。

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