1 住宅防火対策の推進
平成21年中の住宅火災による死者数(放火自殺者等数を除く。)は、1,023人となり、前年(1,123人)から100人減少しているが、依然として1,000人を超える高水準が続いている。
平成16年6月の消防法の改正によりすべての住宅に住宅用火災警報器等の設置・維持が義務付けられ、既存住宅を含め、平成23年6月までの各市町村条例で定める日から義務化となる。しかしながら、平成22年6月時点での全国の住宅用火災警報器の普及率は58.4%(消防庁推計)に留まっている。また、西日本(普及率:53.3%)は、東日本(普及率:61.7%)に比べ普及が遅れているなど、住宅用火災警報器の普及状況には、地域差がみられる状況である。このため、住宅用火災警報器の設置促進については、各地域における普及率調査の結果を踏まえた重点的な取組を展開していく必要がある。
消防庁では、共同購入が多くの地域において住宅用火災警報器の普及に効果を挙げていることから、各地域における取組として有効な共同購入について、先進的な地域における取組のノウハウを普及するため、平成22年4月に「地域における住宅用火災警報器共同購入等ノウハウ集」をとりまとめ、全国の消防本部に配布した。また、消防団や婦人(女性)防火クラブ、自主防災組織等の地域コミュニティのリーダー等を対象として、共同購入をはじめとする住宅用火災警報器の普及促進に係る取組を推進するため、他地域での地域力を活かした先進的な取組事例等の紹介等を行うシンポジウムを全国各地で開催している。
さらに、こんろやストーブからの出火防止等について映像資料を作成するとともに、ホームページ(http://www.fdma.go.jp)において配信し、住宅用火災警報器のみならず住宅防火に係る総合的な啓発を図っている。
以上に加えて、平成22年8月に開催された「住宅用火災警報器設置推進会議」においては、住宅用火災警報器設置効果を活用した広報活動、高齢者世帯など設置困難世帯への対策強化の2項目が追加項目として決定された。これらを踏まえ、各地域においては、住宅用火災警報器の設置が全国で義務化される平成23年6月に向けて、一層集中的な取組を展開することが望まれる。