平成22年版 消防白書

4 立入検査

消防機関は、火災予防のために必要があるときは、消防法第4条の規定により防火対象物に立ち入って検査を行っている。
平成21年度中に全国の消防機関が行った立入検査回数は、86万5,447回となっている(第1―1―29表)。

H2236.gif

立入検査等により判明した防火対象物の防火管理上の不備や消防用設備等の未設置等について、消防長又は消防署長は、消防法第8条、第8条の2又は第17条の4の規定に基づき、防火管理者の選任、消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置等必要な措置を講じるべきことを命じることができる。また、火災予防上危険であると認める場合には、消防法第5条、第5条の2又は第5条の3の規定に基づき、当該防火対象物の改修、移転、危険排除等の必要な措置や使用禁止、制限等を命じることができるとされており、これらの命令をした場合には、その旨を公示することとされている。
このように立入検査等を行った結果、消防法令違反を発見した場合、消防長又は消防署長は、警告等の改善指導及び命令等を行い、法令に適合したものとなるよう違反状態の是正に努めている(第1―1―30表、附属資料212223)。

H2237.gif

特に、特定違反対象物(床面積1,500m2以上の特定防火対象物及び地階を除く階数が11以上の非特定防火対象物のうち、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備又は自動火災報知設備がその設置義務部分の過半にわたって未設置の防火対象物をいう。)については、火災発生時における人命の危険性が大きい等、その違反の重大性を踏まえ、厳しく指導を行っているところである。なお、平成22年3月31日現在、233件の対象物において消防法令違反が存在していることから、引き続き重点的な違反是正の徹底を図っていく必要がある(第1―1―31表)。

H2238.gif

関連リンク

はじめに
はじめに はじめに 我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、日々国民の安全の確保に努めて...
1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要
トピックスI チリ中部沿岸を震源とする地震による津波の概要と消防庁の対応 1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要 平成22年2月27日15時34分(チリ国現地時間同日3時34分)、チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生した。この地震により津波が発生し、日本を含む太平洋沿岸諸国の広...
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況 (1)津波の状況 気象庁は、平成22年2月28日9時33分、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波警報(大津波)、その他の太平洋沿岸全域などに津波警報(津波)、北海道日本海沿岸南部、オホーツク海沿岸等に津波注意報を発表した。特に津波警報(大津波)の発表は、平...
3 消防庁の対応
3 消防庁の対応 消防庁では、平成22年2月27日にチリ中部沿岸を震源とする地震の発生後、直ちに関係職員が参集し、情報収集体制の確保・強化を図るとともに、翌28日に津波警報(大津波)、津波警報(津波)及び津波注意報の発表後は、全職員が参集し、消防庁長官を本部長とする災害対策本部を設置した。同本部にお...