平成22年版 消防白書

6 消防用機械器具等の検定等

消防の用に供する機械器具等は、火災予防、消火又は人命救助等のために重要な役割を果たすものであり、一定の性能等を有し、実火災等において必要な機能を発揮することが不可欠である。そこで、一部の消防用機械器具等については、検定制度又は自主表示制度により、一定の性能を担保することとしている。

(1)検定

検定の対象となる消防用機械器具等(以下「検定対象機械器具等」という。)は、消防法第21条の2の規定により、検定に合格し、その旨の表示が付されているものでなければ、販売し又は販売の目的で陳列する等の行為をしてはならないこととされている。
検定対象機械器具等は、消火器、閉鎖型スプリンクラーヘッド等消防法施行令第37条に定める14品目である。
この検定は、「型式承認」(形状等が総務省令で定める技術上の規格に適合している旨の承認)と「個別検定」(個々の検定対象機械器具等の形状等が、型式承認を受けた検定対象機械器具等の型式に係る形状等と同一であるかどうかについて行う検定)からなっている(第1―1―36表)。

H2243.gif

また、新たな技術開発等に係る検定対象機械器具等について、その形状等が総務省令で定める技術上の規格に適合するものと同等以上の性能があると認められるものについては、総務大臣が定める技術上の規格によることができることとし、これらの検定対象機械器具等の技術革新が進むよう検定制度の整備充実を図っている。
平成20年10月、製造事業者が消防用ホースに係る個別検定時に試験サンプルをすり替えるなどの不正行為を行っていたことが判明した。消防庁は、これを踏まえ、同社に対し、不正の原因究明、不正を行った間の消防用ホースの安全チェック及び再発防止策を実施するよう指示し、同社において、市場に流通した不良品の回収・交換が行われているところである。
また、平成22年3月、消防車両に積載されていた輸入品の泡消火薬剤が低温等のため凝固したという事案の発生を契機として、消防庁において関係事業者から事実関係を聴取した結果、一部の輸入・販売事業者において、主に消防車両の圧縮空気泡消火装置等に用いられる泡消火薬剤を検定の一部又は全部を受けずに販売していたことが判明した。
消防庁は、当該販売元に対し、厳重注意を行うとともに、原因究明・再発防止、既流通品への対応等を指示した。

(2)自主表示

自主表示の制度は、消防法第21条の16の3の規定により、製造事業者等の責任において、自ら規格適合性を確認し、あらかじめ総務大臣に届出を行った型式について表示を付すことが認められるものである。自主表示の対象となる機械器具等(以下「自主表示対象機械器具等」という。)は、消防法第21条の16の2の規定により、表示が付されているものでなければ、販売し又は販売の目的で陳列する等の行為をしてはならないこととされている。自主表示対象機械器具等の対象品目は、消防法施行令の規定により、動力消防ポンプ及び消防用吸管とされている。
平成21年度中の製造事業者からの届出は、動力消防ポンプが31件、消防用吸管が0件である。

関連リンク

はじめに
はじめに はじめに 我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、日々国民の安全の確保に努めて...
1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要
トピックスI チリ中部沿岸を震源とする地震による津波の概要と消防庁の対応 1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要 平成22年2月27日15時34分(チリ国現地時間同日3時34分)、チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生した。この地震により津波が発生し、日本を含む太平洋沿岸諸国の広...
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況 (1)津波の状況 気象庁は、平成22年2月28日9時33分、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波警報(大津波)、その他の太平洋沿岸全域などに津波警報(津波)、北海道日本海沿岸南部、オホーツク海沿岸等に津波注意報を発表した。特に津波警報(大津波)の発表は、平...
3 消防庁の対応
3 消防庁の対応 消防庁では、平成22年2月27日にチリ中部沿岸を震源とする地震の発生後、直ちに関係職員が参集し、情報収集体制の確保・強化を図るとともに、翌28日に津波警報(大津波)、津波警報(津波)及び津波注意報の発表後は、全職員が参集し、消防庁長官を本部長とする災害対策本部を設置した。同本部にお...