平成22年版 消防白書

2 道府県・消防機関における防災体制

(1)防災体制の確立

特別防災区域が所在する道府県では、石油コンビナート等災害防止法に基づき、石油コンビナート等防災本部(以下「防災本部」という。)を中心として関係機関等が一致協力して、総合的かつ計画的に防災体制の確立を推進している。防災本部は、石油コンビナート等防災計画(以下「防災計画」という。)の作成、災害時における関係機関の連絡調整、防災に関する調査研究等の業務を行っている。

(2)災害発生時の応急対策

特別防災区域で災害が発生した場合、その応急対策は、防災計画の定めるところにより、防災本部が中心となり、道府県、市町村、関係機関及び特定事業者等が一体となった防災対応が行われる。
消防機関は、災害発生時において、災害防御活動の実施、自衛防災組織等の活動に対する指示を行う等、災害応急対応の中心的な役割を担っている。

(3)特別防災区域所在市町村等の消防力の整備

大規模かつ特殊な災害が発生するおそれのある特別防災区域に係る消防力は、十分に整備することが必要である。消防庁は、市町村の消防機関が基準とする「消防力の整備指針」において、特別防災区域に係る災害に対処するために保有すべき消防力を示しており、その整備を図っている。
平成22年4月1日現在、特別防災区域所在市町村の消防機関には、大型化学消防車93台、大型高所放水車73台、泡原液搬送車94台、大型化学高所放水車8台、3%泡消火薬剤3,064kl(キロリットル)、6%泡消火薬剤849kl、消防艇24艇等が配備されている。
また、市町村の消防力を補完し、特別防災区域の防災体制を充実強化するため、特別防災区域所在道府県においても、泡原液貯蔵設備29基、可搬式泡放水砲18基等が整備されている。

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