平成22年版 消防白書

第5節 風水害対策

[風水害の現況と最近の動向]

(1)平成21年中の主な災害

平成21年7月から10月においては、全国各地で狭い範囲に数時間にわたり、100mmから数百mmの雨量をもたらす集中豪雨や、数十分間に数十mmの雨量をもたらす局地的な大雨が発生し、特に平成21年7月中国・九州北部豪雨、台風第9号、台風第18号では、非常に激しい雨による浸水被害や土砂災害により大きな被害がもたらされた(第1―5―1表)。

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平成21年中の風水害による人的被害、住家被害は、死者・行方不明者76人(前年22人)、負傷者288人(同57人)、全壊246棟(同27棟)、半壊1,324棟(同37棟)、一部破損5,029棟(同340棟)等となっている(第1―5―1図)。

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また、平成21年中に発生した台風の数は22個と平年の26.7個(昭和46年から平成12年までの30年間平均)と比較すると少なく、日本列島への上陸数も1個であった。

(2)平成22年1月から10月までの主な災害

平成22年6月中旬から7月中旬にかけて梅雨前線は九州から本州付近に停滞し、断続的に活動が活発となった。九州から東北にかけての広い範囲で大雨となり、局地的に1時間80mmを超える猛烈な雨が観測され、特に岐阜県及び広島県を中心に大きな被害が発生した。
また、10月下旬には、奄美地方付近に前線が停滞し、奄美大島で1時間に120mm以上の記録的な雨が観測され、大きな被害が発生した。
これらの風水害に伴う人的被害、住家被害は、死者・行方不明者24人、負傷者23人、全壊49棟、半壊206棟、一部破損224棟等となっている(第1―5―2表、平成22年11月7日現在)。さらには、平成22年1月から10月末までに発生した台風の数は14個であり、このうち日本列島への上陸数は2個である(前年同時期21個、上陸数は1個)。

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