2 放射性物質事故対応能力の向上
原子力発電所等が所在しない市町村においても、放射性物質輸送時や放射性同位元素(RI)取扱施設等において放射線の放出を伴う事故が発生する可能性があり、当該市町村の消防機関は、迅速かつ適切に事故対応を行う必要があることから、放射性物質による事故に対する消防機関の消防活動能力の向上を図っていく必要がある。
平成22年度原子力総合防災訓練の概要
原子力施設において、放射性物質が環境に大量に放出されるおそれが生じるなどの緊急事態の発生に備え、原子力災害対策特別措置法に基づいて、毎年度、国、地方公共団体、事業者等が一体となって、周辺住民の安全確保等のための応急対策を含む訓練を実施しています。
今年度も、同法第13条に基づき、原子力総合防災訓練を実施しましたので、その概要について説明します。
1.実施日等
(1)実施日
平成22年10月20日(水)13:00~18:00
10月21日(木) 7:30~13:00
(2)対象施設
中部電力株式会社 浜岡原子力発電所
(3)参加機関
○政府機関:内閣官房、内閣府、原子力安全委員会、総務省、消防庁、文部科学省、経済産業省、原子力安全・保安院 等
○地方公共団体:静岡県、御前崎市、牧之原市、掛川市、菊川市、牧野原市御前崎市広域施設組合消防本部、菊川市消防本部、掛川市消防本部、静岡市消防局、川崎市消防局 等
○事業者:中部電力株式会社 等
など(合計86機関)
2.訓練概要
浜岡原子力発電所3号機において、原子炉給水系の故障により原子炉水位が低下し、その後の非常用炉心冷却装置等複数の冷却設備故障により、放射性物質の放出のおそれがある事態となったという想定で訓練を実施しました。
なお、消防に関する訓練については、次の項目を中心に実施しました。
(1)政府原子力災害対策本部設置運営訓練
総理官邸に内閣総理大臣を本部長とする政府原子力災害対策本部を設置し、閣僚による各府省からの報告、それらを踏まえた指示等の訓練を実施。
(2)緊急時通信連絡訓練
消防庁災害対策本部、現地オフサイトセンターに設置された消防庁現地対策本部、政府原子力災害対策本部間の緊急時通信連絡訓練を実施。
(3)電力事業者と消防機関との連携による消火訓練
中部電力株式会社浜岡原子力発電所自衛消防隊と牧之原市御前崎市広域施設組合消防本部消火隊による屋外変圧器火災を想定した消火訓練を実施。
(4)緊急消防援助隊による情報収集訓練
緊急消防援助隊指揮支援部隊として派遣された川崎市消防局ヘリによる発電所周辺状況の情報収集訓練を実施。
(5)緊急被ばく患者搬送訓練
原子力発電所において被ばく患者が発生したとの想定で、牧之原市御前崎市広域施設組合消防本部救急隊、静岡市消防局ヘリによる被ばく患者搬送訓練を実施。