平成22年版 消防白書

[ガス災害対策]

1 ガス災害の現況と最近の動向

(1)事故の発生件数

平成21年中に発生した都市ガス及び液化石油ガス(LPG)の漏えい事故又は爆発・火災事故のうち消防機関が出場したもの(以下「ガス事故」という。)の総件数は、1,196件(対前年比66件増)である。これをガスの種別ごとにみると、都市ガスに係るものが770件(対前年比27件増)、液化石油ガスに係るものが426件(対前年比39件増)となっている(第1―8―2図)。

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ガス事故を態様別にみると、漏えい事故が全体の81.0%、爆発・火災事故が同19.0%であり、ガスの種別ごとにみると、都市ガス事故の92.2%が漏えい事故、同7.8%が爆発・火災事故、液化石油ガス事故の60.6%が漏えい事故、同39.4%が爆発・火災事故となっている(第1―8―2図)。

事故を発生場所別にみると、消費先におけるものがガス事故全体の79.9%、ガス導管等消費先以外におけるものが同20.1%となっている(第1―8―3図)。

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消費先において発生した事故を発生原因別にみると、元栓(コック)の誤操作・火の立ち消え等、消費者に起因する場合が60.9%、ガス事業者・工事業者に起因する場合が11.5%となっている。
ガスの種別ごとにみると、都市ガス事故全体の66.8%が消費者に起因する場合、同9.8%がガス事業者・工事業者に起因する場合となっており、液化石油ガス事故全体の51.4%が消費者に起因する場合、同14.4%がガス事業者・工事業者に起因する場合となっている。

(2)ガス事故による死傷者数

平成21年中に発生したガス事故(自損行為によるものを含む。)による死者数は5人(対前年比5人減)、負傷者数は206人(対前年比18人増)である。死者は、都市ガスによるものが1人(対前年比3人減)、液化石油ガスによるものが4人(対前年比2人減)となっている。負傷者は、都市ガスによるものが57人(対前年比7人減)、液化石油ガスによるものが149人(対前年比25人増)となっている(第1―8―4図)。

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死傷者を事故の態様別にみると、死者数では漏えい事故によるものが60.0%となっており、負傷者数は爆発・火災事故によるものが66.5%となっている。

(3)自損行為によるガス事故

平成21年中に発生したガス事故のうち、自損行為に起因する事故はガス事故全体の4.0%に当たる48件で、これらの事故による死者数は2人(死者全体の40.0%、対前年比5人減)、負傷者数は38人(負傷者全体の18.4%、対前年比6人増)となっている。
自損行為に起因する事故で、漏えい事故にとどまったものは38件(対前年比6件増)、爆発・火災事故にまで至ったものが10件(対前年比2件減)となっている。

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