平成22年版 消防白書

2 雪害対策の現況

過去の10年間(平成12~平成21年)の自然災害による犠牲者をみると、雪害による犠牲者は439人にものぼり、風水害(598人)に続く第二の自然災害となっている。特に、近年の要因をみると屋根の雪下ろし等除雪作業中の死者が多く、また、犠牲者のおよそ3分の2が65歳以上の高齢者である。
特に、平成17年12月から平成18年3月の「平成18年豪雪」では、豪雪地帯である新潟県津南町でこれまでの最大記録を超える416cmの積雪を観測するなど、各地で記録的な大雪となり、屋根の雪下ろしなどの除雪作業中の事故、倒壊した家屋の下敷き等により、152人もの方が犠牲となった。そして、犠牲者の約3分の2にあたる99人が65歳以上の高齢者であった。
この災害に対し、消防庁は、被害が発生した道府県からの情報収集を実施するとともに、消防機関の県内相互応援及び緊急消防援助隊の即応体制の確立、雪崩危険箇所等の把握・周知及び情報の収集・伝達体制や警戒・避難体制の確立等の対策、特に高齢者等の災害時要援護者に対する対策等に万全を期すように要請した。
その後も、雪害による犠牲者が発生している状況を踏まえ、消防庁では毎年積雪期を前に、雪害に対する防災態勢を強化するよう地方公共団体に要請を行っている。
また、国としては、関係省庁の連携の下、平成20年度に「雪害による犠牲者ゼロのための地域の防災力向上を目指す検討会」を開催し、過去の雪の事故で明らかになった課題及び市町村を中心に地域の多様な主体が連携し、高齢者が無理することなく除雪できる体制の整備、地元ニーズをより一層踏まえた除雪の支援等、雪処理に係る事故防止の徹底のための対策についての提言をまとめた。併せて、パンフレット「除雪中の事故防止に向けた対策」を作成し、市町村等関係機関への配布を行った。

関連リンク

はじめに
はじめに はじめに 我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、日々国民の安全の確保に努めて...
1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要
トピックスI チリ中部沿岸を震源とする地震による津波の概要と消防庁の対応 1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要 平成22年2月27日15時34分(チリ国現地時間同日3時34分)、チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生した。この地震により津波が発生し、日本を含む太平洋沿岸諸国の広...
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況 (1)津波の状況 気象庁は、平成22年2月28日9時33分、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波警報(大津波)、その他の太平洋沿岸全域などに津波警報(津波)、北海道日本海沿岸南部、オホーツク海沿岸等に津波注意報を発表した。特に津波警報(大津波)の発表は、平...
3 消防庁の対応
3 消防庁の対応 消防庁では、平成22年2月27日にチリ中部沿岸を震源とする地震の発生後、直ちに関係職員が参集し、情報収集体制の確保・強化を図るとともに、翌28日に津波警報(大津波)、津波警報(津波)及び津波注意報の発表後は、全職員が参集し、消防庁長官を本部長とする災害対策本部を設置した。同本部にお...