平成22年版 消防白書

3 雪害対策の課題

雪害による人的被害の発生を防ぐためには、防災知識の普及啓発等を進めるとともに、次のような対策の推進が求められている。

(1)除雪作業における対策

近年の雪害では、高齢者が亡くなるケースや、屋根の雪下ろし等の除雪作業中に亡くなるケースが目立っている。
このようなことを踏まえ、積雪時においては、特に高齢者等の災害時要援護者宅の状況を消防機関や福祉関係機関との連携による巡回等により把握し、除雪が困難又は危険な場合などについては、必要に応じ消防団、自主防災組織、近隣居住者等との連携協力の下、複数名による除雪作業を行うことや、屋根の雪下ろしの際の命綱や滑り止めの着用、軒下での作業時の落雪への注意等について注意喚起を行うなど適切に対応することが必要である。

(2)なだれ等に対する適切な避難勧告等の発令・伝達

降積雪の状況等の情報、過去の雪害事例等を勘案し、なだれ、家屋の倒壊等により、住民の生命・身体に被害が及ぶおそれがあると判断したときは、遅滞なく避難の勧告・指示を行う必要がある。
また、避難の勧告・指示の伝達については、防災行政無線や消防団、自主防災組織をはじめとした効果的かつ確実な伝達手段を複合的に活用し、対象地域の住民に迅速かつ的確に伝達する必要がある。

(3)避難体制

避難路、避難所、避難誘導方法等を定め、住民に周知しておくとともに、雪害の特性を踏まえた安全性を確保する必要がある。
また、高齢者・障害者等の災害時要援護者については、消防団、自主防災組織、近隣居住者等との連携・協力の下、迅速な避難誘導に努める必要がある。

(4)防災体制の確立

災害が発生した場合には、関係機関とも連携し、消防機関の県内相互応援及び緊急消防援助隊の活用等、地方公共団体相互の広域的な応援活動により迅速な救助活動等に万全を期す必要がある。

関連リンク

はじめに
はじめに はじめに 我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、日々国民の安全の確保に努めて...
1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要
トピックスI チリ中部沿岸を震源とする地震による津波の概要と消防庁の対応 1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要 平成22年2月27日15時34分(チリ国現地時間同日3時34分)、チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生した。この地震により津波が発生し、日本を含む太平洋沿岸諸国の広...
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況 (1)津波の状況 気象庁は、平成22年2月28日9時33分、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波警報(大津波)、その他の太平洋沿岸全域などに津波警報(津波)、北海道日本海沿岸南部、オホーツク海沿岸等に津波注意報を発表した。特に津波警報(大津波)の発表は、平...
3 消防庁の対応
3 消防庁の対応 消防庁では、平成22年2月27日にチリ中部沿岸を震源とする地震の発生後、直ちに関係職員が参集し、情報収集体制の確保・強化を図るとともに、翌28日に津波警報(大津波)、津波警報(津波)及び津波注意報の発表後は、全職員が参集し、消防庁長官を本部長とする災害対策本部を設置した。同本部にお...