3 研究成果をより広く役立てるために
消防研究センターでは、研究によって得られた成果を、全国の消防職員をはじめとする消防関係者はもとより、一般の方々にも広く役立てることを目的に、以下の活動を行っている。
(1)一般公開
毎年4月の「科学技術週間」にあわせて、消防研究センターの一般公開を実施している。平成22年度は4月16日に実施した。最高気温が10度を下回るという例年にない厳しい寒さと時折小雨のぱらつく中での開催となった。
一般公開では、実験施設や実験場などの公開、展示や実演による研究の紹介を行っている。平成22年度は全25項目にわたる内容を公開し、中でも、泡消火のメカニズムについて紹介するために行った小規模石油タンク模型を用いた消火実験などが、参加者の注目を集めた。
(2)全国消防技術者会議
全国の消防技術者の研究発表、意見交換等の場として昭和28年から「全国消防技術者会議」を毎年開催している。
この会議では、各地の消防本部で実施された研究成果の発表、消防機器の開発・改良に関する紹介、火災原因調査の事例紹介などを行っている。平成21年度は、11月25日及び26日の2日間、東京都港区虎ノ門のニッショーホールにおいて開催された。平成22年度は、10月21日及び22日の2日間にわたり開催することとしている。
(3)消防防災研究講演会
消防研究センターの研究成果の発表及び消防関係者や消防防災分野の技術者や研究者との意見交換を行うため、平成9年度から「消防防災研究講演会」を開催している。
この講演会では毎年特定のテーマを設けており、平成21年度は平成22年1月29日に「都市型空間での火災に対する安全確保に向けて」をテーマとして開催した。
(4)調査技術会議
消防研究センターでは、消防本部が行った火災及び危険物流出等事故に関する事故事例や最新の調査技術を互いに発表することにより、調査技術や行政反映方策に関する情報を共有して消防本部の火災調査及び危険物流出等事故調査に関する実務能力を全国的に向上させることを目的として、「調査技術会議」を開催している。年間を通じて発表された調査事例については、年度末に取りまとめ、全消防本部に配布し、情報共有を図っている。
この会議は、全国の主な都市で年間5回程度開催しており、平成21年度は、東京、名古屋、仙台、大阪、北九州、高松の6都市で開催した。平成22年度は、東京、名古屋、札幌、大阪、福岡の5都市で開催の予定である。
(5)消防防災機器の開発等及び消防防災科学論文の表彰
消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性化に寄与することを目的として、消防職員や一般の方による消防防災機器の開発・改良及び消防防災に関する研究成果のうち特に優れたものを消防庁長官が表彰する制度を平成9年度から実施している。応募の資格に制限はなく誰でも応募することができるため、多くの人に開かれた発表の機会となっている。平成21年度より、従来の募集に加えて、優秀な原因調査事例についても表彰の対象として募集を開始した。
平成21年度は78作品の応募があり、選考委員会による厳正な審査の結果、21の受賞作品(優秀賞19作品、奨励賞2作品)が決定され、平成21年11月26日に全国消防技術者会議の中で表彰式及び受賞者による成果発表を行った。全国の消防技術者が参加する会議の場での表彰と成果発表は初めての試みであった。
(6)見学の受け入れ
消防研究センターでは、消防職団員や市町村の防災担当者に限らず、近隣の小中学校や自治会、防火協議会など、幅広く施設見学の受け入れを行っている。
平成21年度は合計で54件1,565名の見学を受け入れた。