平成23年版 消防白書

2 放火火災防止対策の推進

放火による火災は、平成9年(1997年)以降連続して出火原因の第1位となっており、放火の疑いによる火災を合わせると全火災の2割以上を占め(平成22年中の放火及び放火の疑いの火災件数は9,551件で全火災の20.5%)、深刻な社会問題となっている(第1-1-22図)。

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放火を防ぐためには、一人ひとりが防止対策を心掛けるだけでなく、地域全体が「放火されない環境づくり」に取り組むことが重要である。
特に、連続放火が発生している地域にあっては、地域の安心・安全に深刻な影響があるため、暗いところや死角になるところに可燃物を放置しないこと、夜間にごみを出さないこと、門灯の終夜点灯により街路を明るくすることなどの対策を地域全体で徹底するとともに、関係行政機関と地域住民が協力して、街灯の増設、炎感知器や侵入監視センサーと連動した照明の設置、放火監視機器の設置などを推進し、より一層の警戒体制を構築することが必要である。
このため、「放火火災防止対策戦略プラン」(参照URL:http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList4_6.html)を活用し、目標の設定、現状分析、達成状況の評価というサイクルで地域全体の安心・安全な環境が確保されるような取組を継続的に行うことで、放火火災に対する地域の対応力を向上させることなどを推進している。
また、当戦略プランの中で放火火災防止対策に有効とされた放火監視機器について、検証試験(平成22年度までに延べ20都市)を行っているところであり、設置された地区においては、放火火災件数が減少したほか、住民の火災防止対策に対する意識向上の契機となるなどの効果が確認されている。

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