平成23年版 消防白書

2 避難の状況

放射性物質が環境に放出される可能性があること等を受け、住民の生命や身体に対する危険を防止するため、3月11日に福島県知事は住民の避難の指示を行い、また、3月11日から15日にかけて、内閣総理大臣(原子力災害対策本部長)は、福島第一原発及び福島第二原発周辺の関係市町村長等に対し、住民の避難や屋内退避*5の指示を行うよう段階的に指示した。4月21日以降は、警戒区域*6の設定、計画的避難区域*7、緊急時避難準備区域*8及び特定避難勧奨地点*9の設定や解除などがなされている。

*5 屋内退避:原子力災害時に放射線被ばく及び放射性物質の吸入を低減するために家屋内に退避すること。
*6 警戒区域:原災法第28条第2項において読み替えて適用される災害対策基本法第63条第1項の規定に基づく区域。緊急事態応急対策に従事する者以外の者に対して、市町村長が一時的な立入りを認める場合を除き、当該区域への立入りを禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。
*7 計画的避難区域:事故発生から1年の期間内に積算線量が20mSvに達するおそれのあるため、住民等に概ね1ヶ月を目途に別の場所に計画的に避難を求める区域。 *8 緊急時避難準備区域:住民が常に緊急的に屋内退避や自力での避難ができるようにすることが求められる区域。
*9 特定避難勧奨地点:事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される特定の地点。この地点の住居に対し、政府は避難等に関する支援を行うとともに、当該地区のモニタリングを継続的に行っている。

なお、警戒区域及び計画的避難区域については、原子力災害対策本部で策定した「避難区域等の見直しに関する考え方」(平成23年8月9日)を踏まえ、福島第一原発事故の収束に向け一定の工程が完了した時点で区域見直しについて検討を行うが、除染や生活環境の復旧に向けた取組は先行して行うこととされている。

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