平成23年版 消防白書

3 消火活動

東日本大震災においては、宮城県気仙沼市で津波による流出油、漂流物、船舶、がれきを経路に次々と延焼拡大し、山林にまで延焼する火災が発生するなど、被災地域の数カ所において大規模な火災が発生した。
各地で発生した火災に対し、消防本部及び消防団による消火活動が実施されたが、電話回線途絶による覚知の遅れや、広範囲に及ぶ道路の陥没・亀裂等の多くの障害が発生するとともに、津波による大量のがれきや水没等の影響で火災現場へ出動しても火点に近づけない状況も発生した。また、地震による断水から消防水利の確保が困難となり、河川や防火水槽からがれきの上を遠距離送水する消火活動を強いられた。
さらには、度重なる余震や津波警報により消火活動を中断することを余儀なくされたため、消火活動は困難を極めたが、消防本部と消防団が協力し、応援部隊が到着するまでの間、限られた消防力を駆使し、懸命の消火活動が実施された。

h23040.jpg

関連リンク

はじめに
はじめに 我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより着実に発展し、国民の安心・安全確保に大きな役割を果たしてきました。 本年は、3月11日に発生した東日本大震災によって、死者・行方不明者併せて約2万人という甚大な...
第1節 本震
第I部 東日本大震災について 第1章 地震・津波の概要 第1節 本震 平成23年3月11日14時46分、三陸沖(北緯38度1分、東経142度9分)の深さ24kmを震源として、我が国観測史上最大のマグニチュード9.0*1の地震が発生した。この地震により宮城県栗原市で震度7を観測したほか、宮城県、福島県...
第2節 余震等
第2節 余震等 気象庁によると、東北地方太平洋沖地震の余震は、岩手県沖から茨城県沖にかけて、震源域に対応する長さ約500km、幅約200kmの範囲に密集して発生しているほか、震源域に近い海溝軸の東側、福島県及び茨城県の陸域の浅い場所で発生している(第1-2-1図)。  これまでに発生した余震は、最大...
第1節 人的被害
第2章 災害の概要 第1節 人的被害 東北地方太平洋沖地震及びその後の余震は、地震の揺れ及び津波により東北地方の沿岸部を中心として、広範囲に甚大な被害をもたらした。 被害の中でもとりわけ人的被害については、死者16,079名、行方不明者3,499名(11月11日時点)という、甚大な被害が発生した(...