4 救助活動
東日本大震災の被災地では、多くの現場で、消防本部によって極めて困難な救助活動が展開された。広い範囲にわたって津波に襲われた地区では目標となる建物等がなく、自隊の現在位置や要救助者の位置を特定することに困難が生じた。余震が続き津波警報が継続している中で、津波の再襲来に備えて高台に置いた監視員と無線で連絡をとり合いながら救助活動を続けた消防本部もあった。
また、一面に散乱するがれきや泥水に阻まれて救助車両が救助現場に近づくことができないため、救助資機材を携行しながら徒歩でがれきを乗り越えて移動しなければならなかった。この場合、大型の救助器具を持ち込むことができず、小型で軽量であるが出力が十分でない資機材しか使えない場合も多かった。
浸水した地区ではウェットスーツやボートを使った救助活動となったが、泥水中の鋭利ながれきによってゴム製の器具はすぐに破損した。さらに、行方不明が多数発生したため、長期間にわたって継続した活動を続けることとなった。
消防団は、地域に密着しているという特性を生かし、発生直後から住民の高台への避難誘導や孤立した住民の救助などを行った。また、消防本部や緊急消防援助隊等との連携により、救助活動を行った。
中には、一旦住民が避難した避難所が危険な状況になったため、漂流していたボート2隻とトラックなどの車両を用いて、約400名の住民を安全な避難所に移動させたといった事例などもあった。