平成23年版 消防白書

2 地域のコミュニティの核としての消防団の充実・強化

(1) 大規模災害時における消防団活動と地域コミュニティ

東日本大震災では、消火、救助活動はもとより、水門閉鎖や住民の避難誘導等の消防団員の献身的な活動により、多くの人命が救われ、地域防災の核としての消防団の重要性が再認識されたところである。大規模災害時においては、地域密着性、要員動員力、即時対応力という消防団の特性が如何なく発揮されるところであり、また、平常時においては、消防団員による地域住民に対する防災知識の普及啓発など、地域コミュニティの核としての役割が期待されており、その充実・強化が強く望まれるところである。

(2) 消防団員の安全確保

東日本大震災においては、11月11日現在で亡くなった団員が242名・行方不明の団員が12名と多くの団員が犠牲となったところである。消防団員の安全確保を図るため、水門閉鎖などの自動化の推進や、津波発生時の活動要領の改善など安全対策の確立が急務であり、併せて、情報伝達や装備の改善、研修・訓練の充実が求められている。

(3) 大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会

前述の課題に応えるため、消防審議会での議論を踏まえ、有識者、地方公共団体関係者及び関係省庁からなる「東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会」を11月から開催し、消防団活動のあり方、団員の安全確保、団員の処遇改善など、地域防災・地域コミュニティの核としての消防団の充実・強化について幅広く検討することとしている。

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