2.津波避難対策の推進
未曾有の被害をもたらした東日本大震災を踏まえ、今後発生が懸念される南海トラフの巨大地震に起因する津波災害等に備えるため、地方公共団体においては、消防審議会答申も踏まえた、地域における総合的な地震・津波対策を確立し、ハザードマップや津波避難計画の策定の推進が求められる。
このことからも、都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、津波浸水シミュレーション等を実施したうえで、市町村に対して津波浸水想定区域図を示すことが求められる。市町村では、この津波浸水想定区域図を踏まえ、避難対象地域の指定や避難困難地域の抽出、避難場所や避難経路の指定・設定など、地域の実情を考慮した津波避難計画を、住民や自主防災組織、消防機関、警察等の様々な主体の参画を得たうえで策定し、住民等に対して解りやすく示すことが重要である。
消防庁では、有識者及び地方公共団体関係者等による「津波避難対策推進マニュアル検討会」を平成24年6月から開催しており、中央防災会議「防災対策推進検討会議」の下に設置されたワーキンググループ(津波避難対策検討ワーキンググループ、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ)等の議論や、平成23年12月に公布・施行された「津波防災地域づくりに関する法律」等を踏まえ、都道府県が市町村に対して示す津波避難計画策定の指針や市町村の津波避難計画策定の参考となる「津波対策推進マニュアル検討報告書(平成14年3月消防庁)」を平成24年度内に改訂し、地方公共団体に提示することで、地方公共団体の津波避難対策をより一層推進することとしている。
また、地方公共団体が整備する津波避難タワーや、住民の避難経路となる避難路・避難階段、避難所における防災機能の強化などに係る地方単独事業に要する経費については、従来より地方債と地方交付税による支援を行っているが、東日本大震災の教訓を踏まえて新たに設けられた「緊急防災・減災事業(単独)」において、更なる支援措置を講じている。